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    2009

07.11

「薬屋のタバサ」東直子

薬屋のタバサ薬屋のタバサ
(2009/05)
東 直子

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わたしの人生そのものが、散歩のような気がしてくる。今、ここにいるのも、便宜的に寝泊りをしているだけの、散歩の途中なのかもしれない。商店街を抜け、その道を越えた先にタバサ薬局店はある。ここがわたしの今の居場所だ。一つ屋根の下で男と女が二人きりで暮らす。普通は夫婦、もしくは恋人だ。でも、わたしたちは違う。タバサは、ここに置いて欲しい、と突然申し入れた素性の知れない女を置いてくれるばかりか、わずかながらも給与を与えてくれるというのである。思わず深々と頭を下げ、よろしくお願いします、と答えた。

わたしは、うしろは振り向くまい、と心に決めた。思い出さないこと。迷わないこと。わたしに残された人生を、ただしずかに生き抜くこと。平穏な時間。それ以外に、欲しいものなんてわたしにはもうない。わたしがこの町に足を踏み入れることになった瞬間の記憶は、ひどくおぼろだった。自分の足でやってきたのは確かだ。ただ、理由がわからないままなのだ。タバサは言っていた。ここは何代も前から続いてきた薬屋で、この家に生まれた長男は、必ず薬剤師になることが運命づけられている。

タバサの薬はよく効くという。タバサは夜中に白衣をはおり巡回に出る。タバサだけでなく、店を訪れるお客も意味あり気な顔を見せる。庭の奥の池はいろいろなものを全部飲み込んでくれるという。その池を自分の血で赤く染めようとしたために、タバサの母は出血多量で死んでしまった。ころんでしまうよって、マサヤというおばあさんが言っていた。そして、わたしもタバサの薬を身体に入れた。わからないことだらけ。わたしの身に何が起こっているのか理解できない。ただ、ここにいるために流されていることだけはわかる。

どこか不穏なのに、わたしの思考はそれ以上進むことはない。そして突然幻想的な世界へと迷い込む。それはタバサの薬が見せた幻覚なのか、それが本当なのかはわからない。だが確実にわたしはそこで見たある人に引かれていく。わからないなりに、よくない方向へ向かっていると思う。そのように不安定なまま、現実と幻想はある一点へ、タバサの望む結末へと引き寄せられていく。最後まで読んでもよくわからなかった。わたしは薬を飲むことを辞めてしまったのだろうか。タバサがほんとうは何を望んでいるのか。わたしはころんでしまったのだろうか。

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東直子
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