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    2009

07.17

「碧空の果てに」濱野京子

碧空の果てに (カドカワ銀のさじシリーズ)碧空の果てに (カドカワ銀のさじシリーズ)
(2009/05/29)
濱野 京子

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ユイ自治領の領主ラワンには三人の子があった。十六で他国へ嫁いだ長女のアイリン、その二つ下でまもなく十七になるメイリン、唯一の男子で六歳の跡取りラルー。病弱な跡取りに不安を覚えたラワンが、メイリンを他国へ嫁がせずに優れた婿をとり、ゆくゆくはメイリンとその夫となる者にラルーの補佐をさせようと考えたのも、故なきことではない。それほど、幼い時から聡明で闊達、領民にも慕われていたメイリンへの期待は高かったのだ。

メイリンは馬の一番の乗り手であった。そして大力の持ち主だった。ラワンはその力を決して人に示してはならないといい渡した。そして、男を立てて一歩退くことを覚えよ、と。メイリンは納得できなかった。男ならば力は大きな美質となるのに、なぜ女にあってはならないのか。女とは何かと不自由なもの。この国の外に出てみたい。どんな暮らしをしているのだろう。そして、十七の誕生日を前に、メイリンはだれにも告げず、男のふりをして生まれ故郷を旅立ったのだった。

たどり着いたのはシーハン公国。自由の国で賢者が多く、技術力に秀でた地だった。この地では代々の王が国を統べるのではなく、住民に選ばれた一代限りの首長が政治を行っているという。たまたま逗留することになったフェイエ家は、シーハン公国の貴族で、重職を担う家柄だった。メイリンは妹のロロに連れられ、あちこちに出かけるうちに、おおむね国内の様子が呑み込めるようになっていた。そんな中で、ターリ首長は塔にこもったままで、人々の前に姿を現そうとしなかった。

メイリンはフェイエに伴われ、ターリ首長を訪ねた。ターリは、足が不自由だが鋭い頭脳で国を守る美貌の青年だった。メイリンは数日おきにターリのもとを訪れ、塔の最上階から地上へひきずりおろそうとする。そして、メイリンはターリの足になることを誓い、ターリにつかえる従者となった。やがて心を通わせた二人は、シーハンをねらう大国アインスの侵略と、この国を害せんとする内部の者の陰謀と対決することになった。

ファンタジーの意匠をまといつつも、作品の底辺にあるのはいつもと同じもの。女であるがゆえに、自分は何をなし、何のために生きるものなのか。ヒロインはずっと問い続けている。自己のアイデンティティ探しの旅だ。そこに男女三人の恋模様と、その行方がからみ、ヒロインは己の心を揺らし続ける。互いをじっと見つめるのも愛。遥か遠くを見つめる目線を重ねていくのも愛。黒髪の乙女の凛とした姿が、大地の草原に映える一冊だった。

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