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    2009

07.20

「真夜中の五分前」本多孝好

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真夜中の五分前〈side‐A〉 真夜中の五分前〈side‐B〉

小さな広告代理店に勤める僕は、社内で一番仕事はできるが集団のレベルに合わせることができない女性上司に唯一応えられた。時計を五分遅らせるのは、大学生の頃付き合っていた水穂の癖だった。ちょっと得した気分。いつも人より五分得していた水穂は、十九歳で人よりずっと早く死んでしまった。それに慣れていた僕は、今もなんとなく五分遅れの目覚まし時計を使っていた。最近別れた彼女から、「あなたは五分くらい狂っている」と言われたように、僕は世界の住人から、少しだけずれて生きているようだ。

そんな僕が市営プールで出会ったのは、同じ二十六歳で一卵性双生児のかすみ。かすみとゆかりの双子は、まったく同じ遺伝子を持って生まれた。入れ替わると親さえ気づかない。違うのは名前だけ。どんなに違うことをしようと思っても、結局、同じことをしているという。その妹ゆかりには、弁護士の尾崎という婚約者がいた。かすみは自分と同じ遺伝子を持った妹の恋人に恋をしていた。そして僕とかすみは、お互いの欠落した穴を埋めあうように、次第に親密になっていく。(「side-A」)

野毛さんが前の会社に電話してきたのは、ちょうど一年前だった。「砂漠で毛布を売らないか」IT企業の社長・野毛さんに誘われるまま会社を移った僕は、バイトと二人きりの職場で新しく働き始めた。僕の仕事は客入りの悪い飲食店を生まれ変わらせることだった。オーナーだけは代えず、まったく新しいコンセプトを提案し、そのコンセプトのもとに店を改装する。幸いにして今までにやった四つの店は順調に軌道に乗っていた。

尾崎さんはひどく痩せていた。肌も乾いていて不健康に浅黒い。一年半前、かすみの葬儀のときに目にした尾崎さんとは別人に見えた。頼みがある。ゆかりと会ってくれ。正確に言うのなら、僕の妻として、僕と一緒に暮らしている女に会って欲しい。あれはゆかりだと、かすみじゃないと、疑いを捨てられるよう確認して欲しいという頼みだった。双子だからって、二人が入れ替わっている?(「side-B」)

好きか、嫌いかでいえば、たぶん好きなほうだろう。ただ、もやもやしたものが残って、非常に不安定な気分に陥った。たぶん、恋愛小説の形は取っているが、実際は感情を失ってしまった主人公の再生を描いているのだろう。いや、大きな括りでいえば、大学の頃に付き合っていた水穂との恋愛小説なのかもしれない。彼は本当の意味でかすみを愛していたのだろうか。それとも失った感情を取り戻すきっかけを得ただけなんだろうか。かなり共感しにくい主人公だけど、死を扱った本多作品としては、読後感は悪くなかった。

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本多孝好
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comments

さらりとして、きれいな恋愛小説だったな…という印象があります。Side-Bで人を好きになるってどういうことなのかな、と考えました。

本多さん、あんまり読んだことがないのでこれまた続けて読みたい作家さんです。

たかこ:2009/07/21(火) 10:11 | URL | [編集]

たかこさん
本多作品はどうもしっくりきません。でも、読んでしまうんだよな~。
これって好きということかしら^^;

しんちゃん:2009/07/21(火) 22:08 | URL | [編集]

はじめまして!
涼菜といいます。
このレビュー読んで、真夜中の5分前すごく読みたくなりました!図書館においてあって、ずっと気になってたのですが、2冊なのでなかなか手にとれなくて…。
今度読んでみます!
ありがとうございました。

涼菜:2009/07/21(火) 23:08 | URL | [編集]

涼菜さん、はじめまして。
大体こんな感じの内容です。基本は読みやすいと思います。
でも「side-B」では変な方向に向かってしまいます。
出身がミステリの人だからでしょうか。覚悟を^^)

しんちゃん:2009/07/22(水) 17:49 | URL | [編集]

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『真夜中の五分前』 本多孝好 新潮社


真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-A 真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-B side-A side-Bの二冊組み。 【side-A】 広告代理店に勤める主人公は二十歳のときに一つ年下の彼女を事故で亡くしてしまう。 彼女は時計を五分遅れにしていたが

2009/07/20(月) 21:55 | みかんのReading Diary♪

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