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    2009

07.24

「ピース」樋口有介

ピース (中公文庫)ピース (中公文庫)
(2009/02)
樋口 有介

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埼玉県秩父にあるスナック〈ラザロ〉に常連客は集う。元警察官のマスター八田が十年ほど前に開いた店で、甥の梢路が簡単な料理を出し、学生アルバイトの玉枝がグラスを運び、東京から流れてきたピアニストの成子が古いジャズをひく。店は古い写真館を改装したもので天井は高く、ピアノのななめ左上には煤けたような色調の宗教画が掛かり、ピアノの後にはアンティークなジュークボックスが据えてある。常連客は、写真家の小長克己、セメント会社の技術者・山賀清二、秩父新報という地元紙の記者・香村麻美、アル中の女子大生・樺山咲という面々。平和な田舎町の平和な夜。

だが平和は突然に終わってしまった。成子の行方がわからなくなり、数日後に雑木林で発見された彼女の遺体はバラバラに切断されていた。遡ること一月ほど前、寄居の山中で歯科医のバラバラ死体が発見されており、事件はにわかに連続事件の様相を呈する。県警本部から秩父へ出向を命じられたのは定年まであと二年というベテラン刑事の坂森。隣町出身の坂森は、冗談で秩父弁を喋ってみたら、止まらなくなってしまった。事件は早々に暗礁に乗り上げてしまう。そこに地元の独身青年のバラバラ遺体が山道に遺棄された。

物静かでちょっと内気で陰日向なく働く好青年と見える一方で、その内気さのなかに不遜さや不適さが同居しており、百科事典を読んでいれば死ぬまで暇つぶしができるという平山梢路。その彼とベッドを共にして、疑念に揺れる離婚暦ある四十一歳の地方紙記者・麻美。そして「はあ」「ほうけえ」と言葉が昔に戻ってしまったベテラン刑事の坂森。この三人の視点を中心としてストーリーは展開していく。それ以外にも視点となる人物がいる。他ならぬ被害者となる人物だ。しかし、事件の糸口は中々見えてこない。接点も見つからない。怪しい人も見当たらない。

そんな中、転機は突然やって来る。思ってもいないところから犯人が登場するのだ。その上、犯人の動機におもわず唸らされた。事件の接点という意味での「ピース」と、もうひとつの「ピース」をめぐる真相が浮かび上がってくるのだ。そして作品タイトルに込められた「ピース」の意味がここで繋がる。これにはやられた。樋口作品はミステリとしての驚きはない。ヒントを頼りに読者が謎を解くという作風ではないからだ。どちらかといえば、サスペンスに近いと思う。でも本書に限っていえば、犯人の意外さというより犯行の理由が巧い。その動機に、読者も共感できてしまうからだ。

その後も坂森刑事がチクチクと妄想を語っているが、そこは必要かどうかわからない。衝撃の動機の余韻とでも捉えればいいのでしょう。過去の樋口作品とは一味違う、新たな樋口有介の魅力を堪能できる作品だと思った。いい女は出ない。キザなセリフ回しもない。甘酸っぱさもない。ほろ苦さもない。では何があるのか。すべては「ピース」にある。おすすめです。

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樋口有介
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comments

こんちは。

「ピース」、いいですよね。
なにより上手い。
仰るとおり、すべては「ピース」に収斂するんですよね。

表紙の畑中純さんの絵もいいっすね。
カメラを見ると子どもは寄ってきちゃうよなァ。

くもざる:2009/07/25(土) 12:45 | URL | [編集]

くもざるさん、こんばんは。
お返事を返したいけど、ネタバレなしでは語り尽くせないです。
とにかく「ピース」が効いていましたね。そこに尽きると思います。

しんちゃん:2009/07/26(日) 19:17 | URL | [編集]

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