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    2009

07.29

「ふちなしのかがみ」辻村深月

ふちなしのかがみふちなしのかがみ
(2009/07/01)
辻村 深月

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日常の隣に怪異がまぎれ込む。すこしふしぎ。そんな五編を収録したホラー短編集。

「踊り場の花子」
この学校の花子さんは、昔、音楽室から飛び降り自殺をした少女の霊だ。花子さんには七不思議があった。この学校の花子さんは階段に棲んでいる。花子さんに会いたければ、彼女の棲む階段を心の底から一生懸命、掃除すること。花子さんのくれる食べ物や飲み物を口にすると呪われる。花子さんの質問に、嘘を吐くと呪われる。花子さんが「箱」をくれると言っても、もらってはならない。花子さんにお願いごとをする時は、花子さんが望むものを与えること。花子さんの与える罰は、階段に閉じ込める、無限階段の刑。夏休みの間、教師は交互に日直が割り振られる。相川は一人職員室に詰めていた。

「ブランコをこぐ足」
何度も立ったり座ったりを繰り返しながらそれをこぐみのりの足、上がっていくスピード。高く舞い上がるブランコと鎖。そのうち、速度を挙げることにも厭きて、やがてみのりはこぐのをやめるはずだ。予想していたのに、そうはならなかった。ますます速度を上げる。次の瞬間だった。ブランコが前に振れた一瞬に、ふわっと座席から彼女の身体が浮かび上がった。と同時に、安全用に設けられたブランコの前の柵の向こう、ドサリという落下音。倒れたみのりは、正面から落ちた。死んだみのりは、「コックリさん」じゃなくて、「キューピット様」を呼び出せるリーダーだった。

「おとうさん、したいがあるよ」
幼い頃は毎年毎年、盆と正月には必ず訪れた母親の実家。私の出身県の田舎にあるその家には、祖父母が二人きりで住んでいた。そして、久しぶりにこの家にやってきた私たちは、中の様子に呆然とした。座敷一面に錯乱した衣類の山。台所に山と積まれた洗われていない食器。開けた冷蔵庫から腐臭がした。祖母は認知症に侵されていた。祖父は祖母のような認知症が始まっている様子はないものの、かなり足が悪く、家事がこなせなくなっていることは一目瞭然だった。犬小屋から出てきた死体は、近所に住んでいた女の子のものだった。座敷の押入れから出てきた死体は全部で四体。死体は結局、八体見つかった。

「ふちなしのかがみ」
そもそも香奈子がこの店に通い始めたのは、ここでサックスの演奏を担当している青年が目当てだ。まだ、高校生なのに本当にすごい。そんな噂を聞き、いてもたってもいられなくなった。そして、彼が実際に演奏する姿を初めて見た時の衝撃は、香奈子にとって生涯忘れられないものとなった。自分の未来の姿が鏡に映るという噂を聞いた。自分の年の数だけ、赤いろうそくを用意し、それを、鏡に全部映るように並べて、火をつける。その状態で鏡を背に立ち、そうして、午前零時に振り返ると、炎の向こうに自分の未来が映る。それは子どもの姿。女の子だった。きっと、自分と彼の未来の子どもだ。

「八月の天変地異」
俺が、こんな目に遭ってるのは、全部キョウスケのせいだ。キョウスケが俺の近所に住んでいなければ。あいつが喘息なんかじゃなくて、休み時間や放課後に校庭で遊ぶタイプだったら。おいつのお母さんに昔、「うちの子をよろしく」なんて言われなければ。俺とキョウスケは、みんなの中ではセットだった。友達がいない。そう思われていることがショックだった。自分が何を言ってるのか、してしまったのか。俺の親友は別にいて、それはみんなも知らない外の世界の人気者だ。ことあるごとに、俺はみんなの前でゆうちゃんの名前を出した。キョウスケは否定するようなことは、一言も話さなかった。


お気に入りだったのは「踊り場の花子」と表題作の「ふちなしのかがみ」だった。それまでの世界が反転するラストスパートが尋常じゃなかった。これはミステリ作家の書くホラーならではの楽しさだと思う。そして、トイレの花子さんやコックリさんなど、いつの時代でもどこの学校にも必ずあるような学校の怪談を辻村流に上手くアレンジしていた。そのコックリさんとぶらんこをくっ付けて、さらにハイジの歌までを絡めた「ブランコをこぐ足」も秀逸だった。子供の頃は一回転するのが夢だったけど、読んでいてゾッとした。現実と非現実が曖昧な「おとうさん、したいがあるよ」もエピローグが効果的だった。最後の「八月の天変地異」はホラーというよりもファンタジーか。切なさと優しさが込められ、読後感を温かに癒す作品だった。

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辻村深月
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comments

いっすよね。
辻村深月!
最高です。

山茶:2009/07/31(金) 07:12 | URL | [編集]

山茶さん
いいっすよ。美人さんだし。
彼女から目が離せないです。

しんちゃん:2009/07/31(金) 20:20 | URL | [編集]

こんにちは。
いつも遅々のコメントですみません(^^;
私も「ふちなしのかがみ」が好きでした。完全に騙されて二度読みしちゃいました。
子供の頃ってどうしてあんなにオカルト話が好きなんでしょう?
私も『コックリさん』は危険だけど『キューピットさん』は大丈夫と信じていたタイプです(笑)

ia.:2009/12/25(金) 09:47 | URL | [編集]

ia.さん、こんばんは。
こういうホラーの辻村さんもいいですよね。
そうそう、子供の頃って本当にオカルトが好きです。
テレビ番組「あなたの知らない世界」を見ていたことを思い出しました^^;

しんちゃん:2009/12/26(土) 20:22 | URL | [編集]

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ふちなしのかがみ


著者:辻村 深月 出版社:角川書店 感想: ブロガーさんにも人気の高い辻村深月さん、初読みです。 「ふちなしのかがみ」は、子供の頃に誰もが噂した、"学校の怪談"や"コックリさん"などをテーマにした、現代風の怪談話集。 『踊り場の花子』は都市伝説にまつわる細かな

2009/12/25(金) 09:36 | どくしょ。るーむ。

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