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    2009

08.06

「図書館の神様」瀬尾まいこ

図書館の神様図書館の神様
(2003/12/18)
瀬尾 まいこ

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清。私の名前だ。私が生まれる三日前に、母さんが八年間飼っていた雑種犬のキヨが死んだ。忠実なキヨ。それで、私が名前を引き継いだ。実はこの名前は私で三代目になる。母方の祖母が喜代。祖母の葬式の日、一匹の犬が我が家に迷い込んだ。それが忠犬キヨ。清は早川家では由緒ある名前なのだ。十八歳までの私は名前のとおり、清く正しい人間だった。バレーボールが私の全てだった。中学では県大会に、高校の時には国体に出場し、よい記録も残していた。ところが、ほんの些細なことがきっかけで、私は何よりも大切にしていたバレーボールを失ってしまうことになる。

四年後には統合されることが決まっている鄙びた高校の唯一の長所は、どの教室からも海が見えることだった。とりわけ、三階の図書室から見える海はすごかった。自分が生徒の頃には図書室なんてまったく寄り付かなかった。なのに、どうして私が文芸部の顧問なのだ。担当教科が国語だから? だったら困る。別に国語が得意なわけじゃない。文学なんてまったく興味がない。大学進学を間近に進路変更した私は、最も簡単そうな道を安易に選んだだけだ。浅見さんの提案で教員免許を取り、高校の講師になった。ただ、浅見さんは私だけのものじゃない。馬鹿だと思う。私は不合理な恋をしていた。

文芸部顧問は恐ろしく楽な仕事だった。部員はたった一名。放っておいても垣内君は黙々と作業する。メガネなんかかけてひ弱そうで色白な青年かと思いきや、垣内君はとても健康そうだった。病弱ならまだしも、健康そのものの垣内君が、放課後図書室でわけのわからない活動をしているのはとても違和感がある。「垣内君って、どうして文芸部なの?」「文学が好きだからです」「まさか」「本当です」冗談で言ってるのかと思いきや、垣内君は川端康成の本を開き、読み始めた。本気で文学をやりたいと思う高校生がいることにも、川端康成を自ら進んで読む若者がいることにも度肝を抜かれた。

ヒロインの清は、やりたくもない仕事をいい加減にこなし、だらしない恋愛におざなりに埋もれている。嘘をついているわけではないが、自分も他人もうまい具合に騙しながら、適当に毎日を過ごしている。しかし、ちょっと大人の垣内君との出会いから、少しずつ傷ついた心を回復していく。この二人の会話がすごくいい。いいのか悪いのかは判断できないが、先生と生徒なのに対等の関係で結びついている感じがする。ともすれば、どちらが先生なのかが逆転した関係。それだけでなく、弟の拓実もいいやつだ。そんな人たちに囲まれながら、日々新しいことを発見し、自分の意思を持てる人になっていく。瀬尾さんの文章に触れてみて、いいものを書くなぁとしみじみ思った。垣内君が欲しい。(おい)

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「図書館の神様」 瀬尾 まいこ


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2009/08/10(月) 20:58 | 日々の書付

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