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    2009

08.07

「植物図鑑」有川浩

植物図鑑植物図鑑
(2009/07/01)
有川 浩

商品詳細を見る

樹木の樹って書いてイツキと読むんだ。さやかが彼から直接聞いた個人情報はそれだけだった。出会ったのは終電ギリギリの呑み会帰り。マンションのポーチが近づいたとき、さやかはそれを見つけた。遠目にゴミ袋と見えたのは、人間だったのである。リュックを背中に植込みの中で丸くなって転がっている同年代の男。けっこういい男。「行き倒れてます」と、男がぽんとさやかの膝に丸めた手を載せた。そして、「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか」そう言った。まるで犬のお手みたい。クククと笑い転げていると、男は更にことばを重ねた。「咬みません。躾のできたよい子です」ますます笑いが止まらなくなった。今にして思うと、この瞬間をして魔が差したというのだろう。

翌朝、居間のローテーブルの上にささやかな食卓が出来上がっていた。食べる前に手を合わせるようなごはん。随分食べてないな。きちんと誰かの手間がかかったごはん。涙が出るほど、おいしかった。あんなごはんがまた食べたいと思わせるなんて反則だ。リュック一つで行き倒れていた躾のいい犬。彼はこれからどこへ行くのだろう。「もし、行く先ないんなら、ここにいない?」そんなことを口走ったのは自分でも何故だか分からない。彼が根負けしたように小さく笑う気配がした。行きずりの男を引き止めて同棲に持ち込むなんて、親が聞いたらきっと卒倒する。構うものか。そうしてイツキが家事手伝いとして居候する契約は成立した。

いや~~ん、と身悶えするような、濃度の高いベタ甘なラブストーリー。イツキの天然たらしぶりはあえて触れません。ご自信で読んで一人鳥肌を立ててください。もちろん電車での読書には注意。油断していると恥ずかしい目に合うこと間違いなし。そして、どこか遠くに旅行に行かなくても、心の持ちようで、身近なところでも旅行気分が味わえると教えてくれている。ふと足を延ばして散歩してみると、そこには河川敷があり、地面からはさまざまな道草が顔を覗かせている。フキノトウ、ノビル、ワラビ、イタドリと、二人は楽しく道草を狩り、家計に優しいとほくほく顔で持ち帰る。自分たちの採った獲物をわいわい騒ぎながら料理する。うーん、なんとも楽しそうだ。

拾った男は倹約家で家事が万能で重度の植物オタクであった、さやかは生きて歩く植物図鑑に野や道端のささやかな草花の名前をあれこれ教え込まれていく。さやかはいつのまにやら季節を追って移り変わる草花に目を配ることが楽しくなっていった。二人の関係も徐々に近づいていく。だが、居心地よくて幸せで、でもそれが全部かりそめだって分かっていた。突然の別離だった。さよならも何も言わずにイツキは旅立った。さやかの慟哭はめちゃめちゃ切ない。しかし安心されたし。愛の作家・有川浩がそのままで終わらせるはずがない。それに本編以外にアナザーストーリーが二編収録されている。本をぱたんと閉じた時には満足感を味わっているだろう。そして一言もらすかもしれない。お腹一杯、と。


余談をひとつ。
サイン会に行ってきました。会場は阪急今津線の逆瀬川駅すぐのショッピングセンター内。大阪から阪急神戸線に乗り、西宮北口駅で今津線に乗り換え、電車はガタゴトと急な坂を北上。圭一と美帆が出合う門戸厄神駅、女子高生のえっちゃんが乗り込んでくる甲東園駅、ミサが別れの覚悟をする仁川駅、翔子さんが降り立った小林駅、時江さんが孫娘と電車に乗り込んだ逆瀬川駅に到着。そう、「阪急電車」の本物を体験してきました。これにはちょっと感激。さてサイン会。大阪から参加した甲斐がありました。サインの下に「てへ」と書いてもらえますか、とお願い。てへ。そして、ツーショット写真を撮ってもらい、名刺を頂いて、にやにやしながら帰途に着きましたとさ。


有川浩さんのサイン。

有川3_r1

そして名刺。

Image252.jpg

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有川浩
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comments

<てへ>がいいですねー^^

読んでて最後はこうなるんやろなぁーってわかっててもよいのが有川さんらしいですね。

たしかに本編だけでも満足やのにスピンオフ二編まで詰ってて満足満腹でした^^

banchi:2009/08/08(土) 17:56 | URL | [編集]

banchiさん
有川作品の女の子はよく言うよね。「てへ」と。
それをお願いしたら、有川さんも編集さんも大ウケでした。
どうやらツボを突いたようです(笑)

そして期待通りのハッピーエンドでした。やっぱこうでなくちゃ。
短編の二作も充実した内容でしたね。

しんちゃん:2009/08/08(土) 20:38 | URL | [編集]

阪急電車に乗って、サイン会なんていいですね。
本の記憶に色がつきそうです。
さらに!「てへ」がいいですね~♪

植物図鑑、甘かったけど、穏やかでした。
雑草っていうのが、さやかとあってたなぁ。
幸せな1冊ですね。

たかこ:2009/10/08(木) 15:47 | URL | [編集]

たかこさん
阪急今津線は感慨深いものがありました。
実は有川作品の中で一番好きな本が阪急電車です。

植物図鑑は雑草を食べたくなった一冊でした(笑)

しんちゃん:2009/10/09(金) 17:45 | URL | [編集]

イツキったら理想的!こんな男の子落ちてたらいいなぁ~って思いながら読んだんですけど、男性の目でみると「天然たらし」なんですね・・。目からウロコでした。

june:2009/12/10(木) 18:05 | URL | [編集]

juneさん
男の立場からすれば、その逆。イツキのような女の子が落ちていれば…。
狙ってではなく、自然とたらせるスキルが欲しいです。それならモテモテなのに(笑)

しんちゃん:2009/12/13(日) 23:01 | URL | [編集]

大満足でしたよ~。
植物まったく興味ないので、まさか読後こんなに浸るとは思いませんでした。
なにかが私の琴線に触れたんでしょうね。有川作品の中で忘れない一作になりそうです。
樹が少女の前で泣いちゃうところなんて、私も泣いちゃいましたよ~。

じゃじゃまま:2009/12/18(金) 21:44 | URL | [編集]

じゃじゃままさん
男子を拾う以外はザ・王道というストレートな恋愛小説でしたね。
いつの間にやら、この恥ずかしい展開にも慣れちゃいました。
排気ガス等で雑草は抵抗がありますが、山菜取りは行きたくなりました。

しんちゃん:2009/12/20(日) 22:05 | URL | [編集]

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