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    2009

08.11

「夏が僕を抱く」豊島ミホ

夏が僕を抱く夏が僕を抱く
(2009/07/10)
豊島ミホ

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ゆっくりと遠ざかり始める、夏休みの記憶と、君。淡くせつない、おさななじみとの恋を描く最新短編集。

「変身少女」
毬男が不良になるんだったら私だってなるしかない。毬男が周りに不良仲間をはべらせ、けらけらと笑っていた。その瞬間、毬男と喋っていた女子が、毬男の腕にしなだれかかった。クラスも小学校も違う私でも知っている有名人、秋山奈々だ。入学式から一ヶ月経たないといのに、秋山の長い髪は既に明るい茶色で、短いスカートからは細すぎる脚があらわになっている。なんであんな女が毬男と一緒にいるんだろう。この間まで、毬男の隣にいたのは私なのに。明日から、いや今日からだって、不良になって毬男の隣に行ってやる。/一途で健気で、不良に向いていないところがなんともかわいかった。

「らくだとモノレール」
あたしはらくだと並んで歩きながら、なんとなしに振り返ってみる。いわゆる団地だ。その団地がさらに敷きつめられたニュータウンに、あたしたちは生きている。団地で、あたしはらくだとだらだら過ごした。らくだは十八、あたしは十七。世間では幼なじみと呼ばれる関係なんだろう。けれど、そんな甘やかなものでなくって、あたしとらくだは友だち。お互い便利な仲間なのだ。不穏な音が聞こえてきた。上のほうだ。あ、と小さく声を上げてしまった。あたしは知っている。そこにらくだのベッドがあることを。/微妙な関係がこそばゆい。そしてらくだはいい奴だ。

「あさなぎ」
お姉ちゃんのキスを見た。わたし三年生、お姉ちゃん六年生。相手は石川研吾くん。お姉ちゃんと同じ六年生で、優等生だった。記憶は鮮明なまま保持している。二十三歳になる今でも。大道さんとわたしが出会い系サイトで知り合って、もう一年だ。いろんなところでいろんなことをした。そのための友だちだから。それも、今日で終わりだ。わたしは明日お見合いする。相手は三つ上のご近所さんで、名を石川研吾という。たぶんわたしは、この初めてのお見合いで結婚するだろう。お姉ちゃんとキスした、健吾くんと。/未来は壊れてしまいそうな予感が。ほろ苦~い。

「遠回りもまだ途中」
あたしは近所の大学に受かり、岬は東京の難関大学を全部、落ちた。岬はくさっていた。あたしはその時、岬と結ばれてしまいそうで怖かった。親しみを特別ななにかとかんちがいして、そのままくっついちゃうのはよくない。あたしはちゃんと恋がしたい。世の中の男の人たちがいかなるものかを知って、知った上で、岬のことが好きなら、好きって言いたい。結局その後は、大学で将チンに告ってみごとに彼女の座を得た。その間も、岬んちを訪ねることは続けていた。彼が必要としているのはあたしなのだ、ということがわるから。/女性側はそうかもねと思いつつ、岬がまたかわいい。外見はあれだけど。

「夏が僕を抱く」
ミーちゃんに再会したのは、渋谷のレコ屋の入り口だった。われながらよく気付いたと思う。日に焼けた手足を思いっきり振り回していた若干がさつすぎるあの子と、今目の前にいる渋谷にありふれたタイプの若い女と、どこが重なるというのか。ミーちゃんは俺より三つ年上で、じーちゃんちの孫だった。要するに俺から見ると従姉だ。子どもの頃の俺は、夏休みになると、遠く青森のじーちゃんちに滞在した。俺はミーちゃんと一緒に山を駆け回った。渋谷で再会した俺とミーちゃんは、それから逢瀬を重ねた。/お互いに胸にもやもやを抱え、語り合わないまま寂しさを埋めあう。痛いな~。

「ストロベリー・ホープ」
隣に住む護が帰ってきたというニュースに驚いた。私が耳にした護の最後の消息は、東京で学生をしているというものだった。私たちはきっと、絵に描いたような幼なじみ同士だったに違いない。護はとても「いい」男の子だった。十和ちゃんと護くん。子どもの頃は、セットでそう呼ばれた。こんなに「いい」男の子と、私が、一緒にいていいのかな? 中学へ進んだ機会に、私は護と「セット」の場所から離れてしまった。そのまま別の高校に進み、私は護と口をきいていない。それでも、すぐ護に会いにいったのは、単に好奇心からだったと思う。/そこにいるだけで安心する存在に癒されたい。最近、切に思う。

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豊島ミホ
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おもしろそうですね

あう:2009/08/12(水) 17:39 | URL | [編集]

岬と護、好きでしたね~。
いいじゃん、岬とくっついちゃえば~!あんな自己中な先輩なんかと馬鹿だな~と思ったし、傷ついて戻ってきた護は、なんだか守ってあげたくなりましたね。

じゃじゃまま:2009/10/24(土) 23:06 | URL | [編集]

じゃじゃままさん
岬くん良かったよね~。この女の子の心中は理解しがたいっす。護くんは…記憶にありません^^;
個人的には、「変身少女」と「らくだ」の女の子がかわいかったです♪

しんちゃん:2009/10/28(水) 18:21 | URL | [編集]

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夏が僕を抱く 豊島ミホ著。


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2009/10/24(土) 23:03 | じゃじゃままブックレビュー

夏が僕を抱く 〔豊島 ミホ〕


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