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    2009

08.20

「ウェディング・ドレス」黒田研二

ウェディング・ドレス (講談社文庫)ウェディング・ドレス (講談社文庫)
(2008/02/15)
黒田 研二

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結婚なんて、一生無縁のことだろう。そう思い続けて生きてきた。ユウ君と出会うまでは。祥子が三十一歳で、ユウ君が二十八歳。出会ってからまだ三ヶ月しか経っていない。それなのにいきなりのプロポーズだ。戸惑うなというほうが無理な話だろう。たった二杯のワインに酔っぱらったのか、ユウ君は軽い寝息を立てながらソファに横たわっている。いつの間にか花唄を歌っていたことに気づき、ベランダに出た。道ばたに停まっていたメタリックブルーのセダンに釘付けとなった。

どくどくと心臓が音を立てて揺れる。その車には見覚えがあった。ここ数日の間に、何度も同じ車を目にしている。偶然とは思えなかった。その車の主はつけ回しているとしか考えられない。無意識のうちに、祥子は自分の首を撫で回していた。母は何者かに首を絞められて殺されていた。ベランダから戻った祥子は鍵を何度も確認した。ユウ君は額にたくさんの汗をかき、苦しそうに顔を歪ませていた。悪夢にうなされているらしい。最近はとくに回数が増えたようだ。

すべては計画通りに進むはずだった。予約していたレストランが、まさかなんの連絡もなしに店を畳んでしまうなんて。用意していた指輪はどこかになくなってしまった。結婚しよう。気持ちが焦ってしまい、結局唐突な台詞となってしまった。祥子はまん丸な目をユウに向けた。彼女の口から言葉が発せられるのを待つ。だが祥子はユウを見つめたきり、いつまで待っても動き出そうとしなかった。彼女の唇が小さく動く。祥子は幼い子供のように、いつまでも泣きじゃくり続けた。

双子の兄とは連絡がつかなくなって、もう十ヶ月以上になる。誠と二人で桜見物に出かけた。その頃はまだ祥子と知り合う前だったし、誠も婚約者を失ったばかりだった。思えば、あれが誠と一緒に酒を飲んだ最後の夜だ。あの夜を境に、誠は一人でこそこそと動き回るようになったのだ。夜中遅くまでどこかへ出かけ、帰ってこないことも多かった。理由を訊いても、うやむやに答える。嘘をついていることはすぐにわかったが、追求しようとは思わなかった。誠が家を空ける回数は次第に増え、ついに完全に姿を消してしまった。

視点を変えて同じ場面を繰り返している。だが、どこか変だ。それがずれていると決定的に知らされるのは、二人だけの結婚式当日である。女性視点の私サイドでは、ユウ君が事故にあったと呼び出され、祥子は銀縁眼鏡の痩せた若い男と脂ぎった太った中年男の二人組みに拉致られ強姦される。もう一方の男性視点では、引き裂かれたウェディング・ドレスを残して祥子は消え、教会には全員が祥子の婚約者だという、ユウと銀縁眼鏡の痩せた青年と肥満体のような中年男性が残された。

どちらが本当のことなのか。これはパラレルワールドなのか。読者としては、落ち着かないストーリー展開がその後も続く。そこに猟奇的なアダルトビデオを模倣した殺人事件も加わり、読み手は物語の結末が気になって、いやおうなくベージを捲る手が止められなくなる。ずれに関しては、そう来たか、という感じだった。ただ密室トリックに至ってはありえない。伏線の扱いはまあまあ。でも全体的に読ませ方は巧いと思った。ミステリというよりもサスペンスとして読めばより楽しめるんじゃないでしょうか。自分的にはアリでした。

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