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    2009

09.04

「魔法飛行」加納朋子

魔法飛行 (創元推理文庫)魔法飛行 (創元推理文庫)
(2000/02)
加納 朋子

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入江駒子がついうっかり、「私も、物語を書いてみようかな」なんて口をすべらせたとき、瀬尾さんはやけに軽い口調で言ってくれた。「じゃあ書いてごらんよ。よかったら読んであげるから」と。本当にあった出来事なら何とか書ける。手紙で近況報告するように綴られていく駒子自身の物語。幾つも名前を持っている不可解な女の子との遭遇。美容院で耳にした噂に端を発する幽霊の一件。学園祭で出逢った〈魔法飛行〉のエピソード。クリスマス・イブを駆け抜けた大事件。駒子の物語は、いずれも大きな謎が解かれないままに終わっていた。

ややあって届く瀬尾さんの感想文には、駒子の首を傾げさせた出来事に対する一つの形が示されている。そして今回は瀬尾さんの他にもうひとり、謎の人物から、駒子宛に手紙が届けられる。これは一種の次元を超えた通信です。私は一人の読者です。私はあなたの周囲の出来事について、もしかしたらあなた以上に詳しいかもしれません。私はあなたの物語の日常を愛します。私という人間がどこかにいて、ページを繰っている。日常の物語を書き続けることで、耐えがたい現実から、ほんの少しの間だけでも逃れさせてほしい。手紙にはそう綴ってあった。

短大生の駒子はもちろん、彼女の友だちにもすごく魅力がある。資産家のお姫様ながら、周囲の度肝を抜くようなことだって、平気な顔でやってしまう愛ちゃん。間違いなく自分の足でしゃんと立ち、ちゃんと目的を持って、それにずんずん歩いてゆけるふみさん。歯に着せるだとか、日本人的歪曲な言い回しだとかとは、完璧に縁のないたまちゃん。そう、今回も女の子のガールズトークが楽しめるのだ。彼女たちの会話がとにかく楽しい。特に愛ちゃんの少しずれた天然には男はあっさりとやられてしまう。また、ツンツン系のふみさんにもMっ気を刺激される。個人的にSだけど。

駒子には見えない部分、あるいは見ようとしない部分が、瀬尾さんにはあっさりと見えてしまう。駒子はそれを「推理力」と呼び、彼は「空想力」と言い直す。空を想う力、と。なるほど、その通りだ。瀬尾さんは謎の絵解きはするものの、それが正解だと結論が出ないままに終わっている。分かっていることから想像して、可能性のひとつを提示しているのにすぎないのだ。駒子は続けて三つの物語を書き上げる。そして最終章で、駒子の元に届いた謎の手紙の差出人の正体が明らかにされる。そこで「空想力」という言葉にもう一度向き合うことになる。そこに込められた大きな仕掛けに巧いと唸ってしまった。と同時に、卑怯と叫んでしまった。

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加納朋子
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