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    2009

09.09

「青嵐の譜」天野純希

青嵐の譜青嵐の譜
(2009/08/05)
天野 純希

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文永の役と弘安の役。この二度にわたる元軍の日本襲来をあわせて、元寇という。元は属国の高麗を通して服属を求める国書をたびたび送ってきた。鎌倉幕府はこれを無視。蒙古軍の侵攻は避けがたいものとなった。商人の子、二郎。武士の子、宋三郎。高麗から逃れてきた麗花。二郎と宋三郎は、無人島に流れ着いた麗花を発見。二郎と麗花は義理の兄妹として育てられる。壱岐島に暮らす三人は境遇の違いを超えて深い絆で結ばれる。

二郎は、幼い頃から絵を描くのが好きだった。できることなら、絵を生業としたかった。なんでも、南宋には宮廷に仕える画家の他にも、庶民を相手に絵を売る町絵師がいくらでもいるという。それなら、しっかりと技巧を学べば、自分も絵師として暮らしていけるのではないか。二郎は絵師になる夢を抱いて父とともに南宋に渡るが、嵐のために船は難破。三年後の再会を約束したまま行方知れずとなった。

宋三郎の母は博多唐人街の遊女で、宋の生まれだった。父親は誰なのか知らない。宋三郎は、わけもわからないまま壱岐へと連れて行かれ、養父のもとに引き取られて武士の子になった。武芸に秀で、二郎には剣の稽古をつけてやった。壱岐は蒙古勢の非道な襲撃を受け、宋三郎は完膚無きまでに蹂躙された地獄を目の当たりにした。元への復讐心に燃える宋三郎は、松浦党に身を投じ、元軍の再襲来に備える。

麗花の祖父と母は亡くなり、会ったことのない高麗の武臣である父に引き取られた。その直後、政変が起こった。父に乗せられた船旅は追っ手に襲われ、麗花一人だけが無人島に流れ着いた。その矢先、養父の喜平次と二郎の乗った船が沈み、麗花の前から姿を消した。その後博多の豪商・謝国明に引き取られて娘同然に育てられた。女座頭の桔梗に母譲りの笛の才が認められ、桔梗率いる田楽踊りの一座に誘われ、加わることを決意した。

動乱の時代に生きた三人の、成長と再会の物語である。彼らはスーパーヒーローではない。日々の些細なことで喜んだり悩んだり哀しんだりしている。今を生きる若者たちとまったく変わりはない。その三人はそれぞれに違う立場で、元寇という荒波に翻弄されることになる。元の拡大政策による日本侵攻や、鎌倉幕府の無能を問うているのではない。元軍の襲来の中、そこには確かに人間が生きて生活していたことが描かれているのだ。

これまでに元寇を扱った作品は何度か読んだことがある。しかし本書のような、庶民や一兵士、元軍の兵士の目線で描かれたものははじめて読んだ。すごく新鮮だった。もちろん大局的な俯瞰もある。でも国と国の争いとはいえ、闘っているのは一人ひとりの兵士であって、故郷を蹂躙された恨みや復讐心、あるいは倒れていく仲間を思うなど、そこには何かを思う感情がある。そういうのを丁寧に描いているのは著者の力量の確かさだと思う。さすが、すばる新人賞受賞者といえる。今後も益々楽しみな作家が出たものだ。

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