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    2009

10.03

「追想五断章」米澤穂信

追想五断章追想五断章
(2009/08)
米澤 穂信

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主人公は、菅生芳光。伯父の古書店で居候しながらアルバイトをしている。店主の菅生広一郎は、甥の芳光よりもアルバイトの笙子に仕事を教えた。芳光はそのことで伯父を悪く思ったりはしていない。ここにいるのは、大学をやめても東京にへばりつく、そのためだけだからだ。そのお客、北里可南子は、亡くなった父が生前に書いた、結末の伏せられた五つの小説(リドルストーリー)を探していた。彼女は父の遺品の中から、小説の結末らしき五つの原稿を見つけた。創作や創造にはまるで無縁な父がなぜ、小説を書いていたのか。報酬は一篇につき十万円。報酬に惹かれた芳光は、伯父に内緒でその依頼を請け負う。

芳光は調査を続けるうちに、未解決のままに終わった「アントワープの銃声」と呼ばれた事件に行きあたる。昭和四十五年。北里参吾の妻、斗満子が、ベルギーのアントワープで首を吊った状態で発見された。北里氏に疑いがかかったのは、亡くなる前後に、隣室の客に銃声を聞かれていたからだ。北里氏は妻を銃で脅し、自殺に見せかけて殺したのではないかと取調べを受けた。しかし起訴には至らず、釈放された。北里氏は「アントワープの銃声」との関係をほのめかすような小説を書いていた。二十二年前のその夜何があったのか? 遺された小説から推理推測し、彼の過去に何があったかを解き明かす。

本書は、亡き北里参吾の遺した作中作が土台となっている。古書店員の菅生芳光がその小説を探す体になっているが、遺作は章がかわると同時にあっさりと発見されてゆく。その作中作の内容自体は目を引くものはない。心踊るものでもない。どちらかと言えば、退屈。眠気を誘うものもあった。だが後半になってから、この地味な作中作の内容と、別に添えられた結末が重要になってくる。それはいつしか依頼者である可南子の父についてだけではなく、彼女たち北里家の過去そのものが関係あったことを指し示す。

そしてページ数が少なくなればなるほど、緊張感が高まっていく。北里可南子は、父親の追想のために五つの断章を探している。菅生芳光自身はどうなのか。突然父が亡くなり、菅生家は生活の手段を失った。学費を払えなくなった芳光は大学を休学し、年老いた母は、芳光の帰郷を一途に望んでいる。目下の最大の問題は、帰ってきてほしい母親と帰りたくない息子の、腹の探り合い。主人公の芳光は、この答えに対し、どういった解答を出すのか。過去を振り返る話であり、一方で自分の将来についてヴィジョンを持っていない青年の、青春去りし後の物語である。

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米澤穂信
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comments

こんばんわ。TBさせていただきました。
芳光の本を探す物語と、参吾の書いた作品と、2つの物語を楽しんでいるようでした。
面白かったです。
物語の展開も事件の真相も面白かったです。
芳光の未来が、これから少しでも良い様に展開していくといいのですが。

苗坊:2010/01/24(日) 19:49 | URL | [編集]

苗坊さん、こんにちは。
実は作中作って苦手です。
それも作家の手によるものだと判りつつ、うさん臭く感じてしまう自分がいます。
そういう訳で、作中作とリドルストーリー探しは物足りなかったです。
でもでも、面白かったですけど^^;

しんちゃん:2010/01/25(月) 14:30 | URL | [編集]

こんばんは。
いつも遅くにすみません。
5つの小説に秘められた物語と、主人公の芳光が「物語のない自分の人生」を比較する辺りも深みがあってよかったですね。

ia.:2010/08/03(火) 23:51 | URL | [編集]

ia.さん、こんんちは。
最近の米澤人気はちょっとすごいですね。
デビュー当時から追っかけていた者としては嬉しさの反面さみしいような。

しんちゃん:2010/08/05(木) 14:20 | URL | [編集]

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