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    2009

10.04

「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」辻村深月

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。
(2009/09/15)
辻村 深月

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“30歳”という岐路の年齢に立つ、かつて幼馴染だった二人の女性。都会でフリーライターとして活躍しながら幸せな結婚生活をも手に入れたみずほと、地元企業で契約社員として勤め、両親と暮らす未婚のOLチエミ。少しずつ隔たってきた互いの人生が、重なることはもうないと思っていた。あの“殺人事件”が起こるまでは……。 何かに突き動かされるように、警察の手を逃れ今なお失踪を続けるチエミと、彼女の居所をつきとめようと奔走するみずほ。行方を追う中、二人の友達、恩師、同僚、同窓生、さまざまな女性の口から語られる、容疑者・チエミの姿と彼女たちの人生。やがて、不可解な事件とその真相が明らかに……!!《出版社より》

とても女子力の濃い作品でした。女性の三十歳という年齢からくる切迫感と、地方で生きていく閉塞感が生んだ悲劇。チエミは地方に生まれ、家を出たことは一度もなく、高校卒業後も地元の短大に進み、そのまま県内で就職する。彼女たちの持つ夢や欲望は、職業や環境に由来するような「外の世界」にはなく、「ここ」で「幸せ」になるというシンプルなものがすべてだ。手取り十万ちょっとの契約社員として勤め、都会の独身の子はほとんどが一人暮らしだが、地元ではパラサイトシングルすることが不可避の前提で、彼女たちの人生プランは、誰かと結婚しなければ先に進むことがない。「自立」は、結婚して初めて実現する。

結婚することが人生の前提にあり、未来に能力を繋げる仕事なんか望みもしない。結婚は間違いなく唯一の成果であり、その価値観しかないから、周辺の多くが、傷ついたようにやがて来る三十代の影にますます怯える結果になる。チエミは、両親から誰よりも愛を注がれ、彼女もまたそれに答える娘だった。チエミは、母親を刺し殺した容疑で指名手配されている。彼女はなぜ、違う場所へ行ってしまったのか。唯一の親友であるみずほは、共通の知人たちと再会し、チエミの居所をつきとめようと奔走する。

そこに出てくる会話の内容を一言でいえば、居心地が悪い。狭い価値観を大事にし、お互い何でも話せる関係を装っていながら、実は相手に対して興味がない。適当に話をあわせ、言葉の最後を甘くごまかす。これは悪口ではない、心配なのだとすりかえる。他の女を笑いものにして嘲る。そういう窮屈で面倒な女性同士の人間関係にうんざりしているはずなのに、そういう関係性の中から抜け出そうとしない。楽しそうに会話をしている女性たちの姿をよく見かけるけど、裏では何を思っているのかと想像すると怖くなる。女子ってすごい生き物だ。

そうして見えてくるチエミの全体像はといえば、どこかずれている。その根源がどこにあるのかというと、彼女の両親にあったことが明らかにされる。そしてチエミを追うみずほ自身にも、母親に対する根深い思いを抱えていることが判明する。本書では、もう一つ、娘と母の関係がテーマになっているのだ。子は親の持ち物ではないし、子は親を選べない。親の言うことすべてが正しくなくても、子にとってはそれが絶対になりもする。そこは深く考えるべき事柄だと思った。親の愛って難しい。

本作は、女子力全開だけど、毒ある人も、そうでない人も、みんなどこにでもいそうな人たちだ。自分の弱さを隠しつつ、なんとか生きていこうと頑張っている。人の精一杯の見栄とか、必死にしがみ付いているプライドなどに気づいてしまうと、それを壊して愉悦に浸りたくなってしまう小さな自分がいる。それを軽く流していたみずほの大人ぶりは格好良かった。そんな大人のみずほですら持っている黒い感情も理解できた。いつ何時、チエミのようになってしまうか分からない。結末は切ないけれど、自分の人生も考えさせられる一冊だった。


辻村深月さんのサイン会に参加しました。そしておねだりをして“kiss“を頂きました。やったね!

辻村深月2

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辻村深月
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comments

僕も読みました!!

kissv-24ちょっとうらやましい・・。

山茶:2009/10/10(土) 14:31 | URL | [編集]

山茶さん
サイン会に参加して、リクエストした者の特権です(笑)
そして、女子の世界にめまいが…。男ではナイですよね。

しんちゃん:2009/10/11(日) 17:20 | URL | [編集]

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-:2010/10/11(月) 08:11 | | [編集]

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辻村深月『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』


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