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    2009

10.06

「女中譚」中島京子

女中譚女中譚
(2009/08/07)
中島 京子

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昭和初期の林芙美子、吉屋信子、永井荷風による女中小説があの『FUTON』の気鋭作家によって現代に甦る。失業男とカフェメイドの悪だくみ、麹町の洋館で独逸帰りのお嬢様につかえる女中、麻布の変人文士先生をお世話しながら舞踏練習所に通った踊り子……。レトロでリアルな時代風俗を背景に、うらぶれた老婆が女中奉公のウラオモテを懐かしく物語る連作小説集。《出版社より》

九十歳をはるかに超えている、そのばあさんは、けっして店に相応しくはなかった。「いつもの」と、注文し、エプロン姿の女の子の、「お帰りなさいませ、お嬢様」という決まり文句に悠然と会釈する。なんで、メイド喫茶にいるのか。強いていえば、女中つながりだと、ばあさんは昔語りを始める。ばあさんは、かつて新宿の裏町にあるカフェーで女給をしていた。そのうち、客とすったもんだの恋愛沙汰を繰り返し、気がつけば、得体の知れない男とも平気で関わりを持ち、純朴な田舎娘から金を搾り取ろうと手紙の代筆をするようになっていた。(「ヒモの手紙」)

若い娘は二十歳を超えたばかりで、仲間内では「りほっち」、と呼ばれていた。老婆の名前は「すみ」だった。二人は友人同士で、同じアパートに暮らす住人なのだ。すみはりほっちの願い通り、独逸と日本人の、ハーフの女の子の話を語って聞かせる。伊牟田先生の家は、見たこともないような立派な洋館で、最初に引き合わされたのが、独逸帰りの萬里子というお嬢様だった。ところが、このお嬢様が、とんだタマだった。萬里子は、不思議なお嬢さんで、どこか一本、ネジが外れたような娘だったのだけど、そのネジの外れ方がどうも、妙に時節に合っていた。(「すみの話」)

娘は、制服を着てコーヒーや軽食を供する喫茶店で働いている。週末になると店の宣伝を兼ねて、娘と同僚はその不思議なデモンストレーションをするのだった。歩行者天国の、往来の真ん中で立ったり座ったり。かつてはばあさんも踊ったものだ。麻布の珍奇な洋館に住んでいる変わり者の物書き先生のところへ女中に出た。奇人先生は夜出かけ、朝帰り、昼に起きる生活だった。始めは気楽だと思って喜んでいる中、あまりにも用がなさ過ぎて退屈だった。そのうち、あんまり暇なので、先生のお墨付きを貰って夜に舞踏の練習に通うようになった。(「文士のはなし」)

昭和初期の女中が主人公ということで、堅苦しいお話を想像していた。それがこのばあさんの若い頃って、結構黒い女なのだ。一つのところに落ち着きがなく、飽きっぽくて、いい加減で、流れ流れて、どこまでも流れて、現代の秋葉原のメイド喫茶の常連客になっている。その紆余変転の中で、人間の業と欲が鮮やかに浮かび上がってくる。そして、その黒さのなかに、ユーモアがある。決してかわいくはない。しかし、そのしたたかさは見習うべきものがあるのかもしれない。元ネタはひとつも知らないけれど、でも面白かったです。

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女中譚Amazonで詳しく見る by G-Tools ≪内容≫ 昭和初期の林芙美子、吉屋信子、永井荷風による女中小説があの『FUTON』の気鋭作家によって現代に甦る。 失業男とカフェメイドの悪だくみ、麹町の洋館で独逸帰りのお嬢様につかえる女中、麻布の変人文士先生をお世話しな...

2009/11/11(水) 19:32 | まったり読書日記

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