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    2009

10.09

「曙光の街」今野敏

曙光の街曙光の街
(2001/11)
今野 敏

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ヴィクトル・オキタの父親は日本人だ。父のおかげである程度日本語を話したヴィクトルは、陸軍にいるときKGBの特殊部隊にスカウトされた。モスクワ大学で日本語の専門教育を受けさせられ、さらに在日ソ連大使館に赴任して、しばらく日本で暮らした。ソ連崩壊前には、彼は日本人と身分をいつわってスパイ活動をしていたことがある。人間というのは、金に弱い。困窮していればなおさらだ。日本のヤクザ組長を殺す。ヴィクトルは再び日本に潜入した。金で雇われることは屈辱だが、戦いの世界に戻ったことは重要だった。

倉島警部補は、公安部外事一課の仕事そのものに、飽き飽きしていた。来る日も来る日も書類仕事だ。情報収集という名目で、誰かと会うと、その話の内容をすべて書類にしなければならない。ノンキャリアの中では出世頭と言われる警視庁の公安部に所属している。これで、不満を言ったら罰が当たる。だが、仕事は面白くなかった。そこに暗殺が計画されているとの情報が入った。ヤクザを暗殺しにロシアから殺し屋がやってくる。口は災いのもとだ。簡単なことだと言ったばかりに、倉島ひとりに押しつけられることになった。

兵藤はかつて、プロ野球の選手だった。極道とプロスポーツ選手の付き合いは珍しいことではない。傷害事件を起こし、球界を追放された兵藤は、津久茂に拾われた。兵藤は、津久茂が一家を構える前からずっと彼につき従っている。どこの組も火の車の世の中だというのに、この事務所には活気があった。今の立場は、営業部長だった。悪い冗談だと思った。極道にサラリーマンになれというのだ。事実上津久茂興業を取り仕切っているのは、大学出の経済ヤクザたちだ。兵藤のような武闘派は、隅っこに追いやられていた。

元KGBの殺し屋、警視庁公安部外事課警部補、武闘派ヤクザ幹部。立場の違う男たちが三つ巴の戦いを展開するうちに、彼らが関わるのはロシア人美少女のエレーナ。やがて明らかになる日ソ時代の驚くべき秘密。そして三人の男が見いだしたものとは。男たちの挫折と再生を描くネオ・アクション作品だ。右翼の男は言った。お前の弱点は、不遇な育ち方をした若者に情けをかけてしまうことだ。冷静で冷徹な殺し屋でありながら、深い情を持つヴィクトルという男。それは半分日本人の血を持った故なのか。

全編に暴力と血が満ちているが、生きるか死ぬかの状況が、男たちの血を沸きたたせる。物語の展開はスピーディーで、交錯する会話が秀逸。時間が過ぎるのを忘れて一気に読ませてしまう吸引力がここにはあった。運命に呼び寄せられた男たちはまた、それぞれの持ち場へと帰って行くのだが、もとの世界とは異なる新しい自分へと歩を進める。曙光とは、物事の前途に見えはじめた明るいきざしを指す言葉である。三人それぞれに射した曙光が微笑ましかった。

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今野敏
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comments

こんばんは。
これ本当に面白かったです!薦めてくれてありがとう!
三人のエピソードや緊張感のあるストーリーがたまらなかったですね。
続編の「白夜街道」は読み終わり、「凍土の密約」は現在図書館予約中です。
ブログを書いたらまた伺いますね。

ia.:2010/03/25(木) 00:52 | URL | [編集]

ia.さん、こんばんは。
これは本当に面白かったです。
でもこのあと続く二作は…。
ここで止まっていた方が良かったような^^;

しんちゃん:2010/03/27(土) 18:26 | URL | [編集]

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曙光の街


著者:今野 敏 出版:文春文庫 感想: 今野敏さんの「曙光の街」を読みました。 元KGBの工作員・ヴィクトルがヤクザの組長の殺す依頼を受け日本に潜入。迎え撃つのは元プロ野球選手だという異色のヤクザ幹部・兵頭と、公安の新人捜査官・倉島警部補。 自分の仕事に誇りを...

2010/03/25(木) 00:48 | どくしょ。るーむ。

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