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    2009

10.13

「芙蓉千里」須賀しのぶ

芙蓉千里芙蓉千里
(2009/07/01)
須賀 しのぶ

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明治四十年、十二歳のフミは、吉原の花魁でお職だったいう顔も知らぬ母親への憧れから、女郎になって一旗揚げるべく、人買いについて自ら満州はハルピンにやってきた。天性の愛嬌と記憶力、辻芸人だった父にたたきこまれた角兵衛獅子で培われた身の軽さで、本人も思いもよらない運命を引き寄せる。フミと一緒にハルピンにやってきたひとつ年上のタエは、旅の間ずっと姉のように面倒を見てくれた。この百姓娘のタエは、男を知らぬが故に、女郎になることを嫌っており、後々フミとある策略をめぐらす。

娼館「酔芙蓉」は、遣り手の女将、芳子が芸妓から身を起こした遊郭で、ほとんどの客は支那人だった。やや古風な美貌に、儚いながら一本芯が通った凛とした気品を持つ蘭花は、素性も何もかも、謎に包まれている看板女郎。そろそろ三十路に手が届く年齢だが、伝法な口調がよく似合い、艶やかな美貌を持つ千代は、最古参の姉女郎。酔芙蓉に入ったフミとタエは、まずは下働きから始める。フミは自分で考えて、自分で選んで、やって来た新天地。そしていつか必ず、大陸一の女郎になってみせる。

ところが、十七歳になったフミは、女郎ではなく芸妓の蕾になっていた。私の舞を見たさに、大陸中、内地からも客が押し寄せるような、芙蓉になってみせる。芙蓉ことフミはいつだって、あらゆることを知って、身につけようとした。この世界を渡っていくために、人並み外れた特技や、正確な情報といった武器が必要だと信じた。それにひきかえ女郎の二番手にのぼりつめたタエは、いつも同じ場所にいる。フミより閉じた世界に住んでいるはずなのに、フミが見落としてしまうものを、いつも見ていた。

本の帯にあったのは、「ガールズ大河小説」と銘打った聞きなれないジャンル。でもまさにそれ。明治後期の混沌とした大陸を舞台に、女であることをしたたかに売って生きていく女子の小説。女の戦いは、少女から、女になったとき、突然はじまる。女がなりふりかまわずに相手を叩き潰そうとするのは、必ず嫉妬からだ。だが、どろどろとしているようで、苦労がつきまとっているようで、全体の雰囲気は、どこか爽やか。美しく着飾り、望まれるままにお客の相手をしても、女の内側に少女でいた自分がいるからだ。

舞は好きだ。芸妓の仕事も好きだ。芙蓉としての誇りもある。しかし、それだけでは埋められないものもある。むしろ、芙蓉としての自分が大きくなればなるほど、虚ろな穴は広がっていく。そして、フミは、自身の人生に大きく関わってきた二人の男性の間で揺れることになる。十二歳のフミが二度ほど話しただけの素性を明かそうとしない山村か。パトロンとしてあらゆるものを与えてくれる黒谷のもとで芸妓芙蓉であり続けるか。はたしてフミの選択は……。第二部は10月中旬から『小説屋sari-sari』にて連載開始だそうです。今後がさらに気になった一冊でした。おすすめ。

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comments

携帯版から読んでいたのですが、エピソードがだいぶ削られてしまったり、登場人物の名前が変わったせいで混乱するところもあったのですが、変えたことでだいぶすっきりとまとまっていました。
タエを主人公にした外伝が携帯版にけいさいされましたが、こちらも面白かったです。( ̄▽ ̄)

日月:2009/10/17(土) 18:14 | URL | [編集]

日月さん
sari-sariは、有川さんをチラ読みしましたが、横文字、字が小さいなど、自分とは合わないと思いました。
ひたすら本になることを待ちたいと…^^;

しんちゃん:2009/10/19(月) 22:03 | URL | [編集]

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「芙蓉千里」 須賀 しのぶ


有川浩作品「植物図鑑」と共に携帯小説サイトに連載されていた「芙蓉千里」。明治末期、一人の少女がある夢をもって中国大陸に渡った。 フミは角兵衛獅子で鍛えた身のこなしと舞の才能で、 やがて哈爾浜(ハルピン)で名をとどろかす芸妓へと成長する。 自分を捨てた...

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芙蓉千里 〔須賀 しのぶ〕


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