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    2009

10.19

「壷空」平谷美樹

壺空 (カッパノベルス)壺空 (カッパノベルス)
(2004/06/19)
平谷 美樹

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岩手県胆沢郡日高町苫丑。この土地には遺跡が眠っている。田神幸利は埋蔵文化センターに勤務する調査員である。掘り返した土の中に、欠損のない土器があった。渦巻きや縄目の文様のついた蓋の三方に半円形の開口部がある。現在田神が掘っている場所は縄文時代晩期の祭祀場の跡と推定された円形広場だった。そこを取り囲むように弥生時代の土器が計十八個も発掘された。ぎっしり土が詰まった土器の中に、炭の断片が顔を出している。顔を近づけると、微かに甘い香の薫りがした気がした。気のせいだ。田神が思った瞬間、薫りは何処かへ消えてしまった。

倉田嘉世子は十数年、年金だけで慎ましく暮らしてきた。新聞記事の中にその名を見つけて、年老いた嘉世子の心臓はドキリと鳴った。羽田野建設。羽田野は、自分たちの手から不当に土地を取り上げた。嘉世子は新聞記事を読んだ。羽田野建設がスパリゾートの建設を予定していた土地で行った試掘調査の結果、予想以上に規模の大きな遺跡であることが判明し、本調査が必要と判断され、スパリゾートの完成予定延びる。羽田野が困ることなら大歓迎だ。発掘作業の補助員を募集していた。羽田野も現場に顔を出すだろう。殺してやる。必ず、復讐してやる。嘉世子は発掘作業補助員に応募した。

羽田野重明は発掘現場を見下ろしていた。馬鹿を相手に商売するには、なによりも評判を気にしなければならない。砂の山からそれは顔を覗かせていた。壷だろうか。それにしては口もない。中が空洞になっている。今までに見たことがない土器だ。密やかに邪気を放つそれを見て虜となった羽田野は、壷を密かに家に持ち帰った。凶悪にして奇怪な事件が起こり始めた。呪法が行われた太古の遺跡で、しかも儀式の準備が整った状態で地中に埋まった土製品。暗黒を孕んだ壷は、穢レや邪霊を吸い、亡霊を呼び、羽田野の体に宿った力は、羽田野の心を支配し、儀式を完了させようと行動する。

聖天神社は、蝦夷の族長、黒丸王の怨霊を封じるために建立された。聖天家の家系を辿れば、黒丸王に至るという。聖天家は巌と弓弦の二人暮らしである。凶兆を得て調査に載りだした聖天弓弦に、太古の秘儀と呪詛が現代に甦った大きな穢れを、祓うが出来るだろうか。弓弦の中に眠っている力は覚醒するのか。また聖天家と法印家は祖先から続く遺恨や因縁を持っていた。黒丸王の手首と蕨手刀は、蝦夷討伐軍の支援を行った法印家の祖先が切り落とし、都へ持ち帰ったものだ。呪術師の法印空木は、この代々伝わる《黒丸王手首付き蕨手刀》を、ライバルである弓弦に返そうと、凶事が動き出している北へ向かう。

知的好奇心をくすぐる遺跡発掘、未知の土製品、縄文の呪術。さらに幻視で見る縄文時代。気持ち悪さに心が怯んでしまう蝟集する穢レや邪霊、襲いくる亡者、エグい人の死、甦ったミイラ、そして、鬼。それらに対するのは、呪術や祈祷法を駆使する聖天弓弦と巌の親子、その親族の竜子と詳子、そして、異形の法印空木。最後は、痛快の活劇に胸がわくわくし、この続きをぜひとも読みたいと強く思った。しかし、このシリーズは今のところこの二作目で打ち止めだ。すごくもったいないと思う。大人の事情はあるだろうけど、もし出版社が某社なら、何らかの形で続いていただろう。ねえ、光文社さん。

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