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    2009

11.06

「八朔の雪―みをつくし料理帖」高田郁

八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)
(2009/05)
高田 郁

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大阪で生まれた十八歳の澪は、両親を水害で亡くし、天涯孤独の身であった。大阪でも名の知れた料理屋「天満一兆庵」に拾われて奉公に上がり、女でありながら板場へ入ることを許され、主人の嘉兵衛に厳しく料理を仕込まれた。その天満一兆庵が火事に遭い、江戸店を任された若旦那の佐兵衛を頼って江戸に来てみると、江戸店はつぶれていた。佐兵衛が吉原通いに明け暮れて莫大な散財を負い、挙句、江戸店を手放して消息を絶ったということだった。そんな話を信じる嘉兵衛ではなかったが、度重なる心労がたたって落命した。

残された女将さんの芳は身体を悪くし、奉公人に過ぎない澪と二人で裏長屋に暮らしていた。神田同胞町には小さな稲荷がある。化け物稲荷という名前で知られた、つい先頃まで荒れ放題だった稲荷神社だ。澪が草を引き、お社に手を入れ、何とかお参りできるようにしたのは三月ほど前のことである。その働きぶりを見られて、蕎麦屋をしている種市に、店を手伝ってもらえないだろうかと声をかけられた。つる屋に雇われて三月。澪は大阪と江戸の味の違いに戸惑いながらも、医師の源斉先生の指摘に目から鱗が落ちる思いをする。

つる屋は、吟味した材料を使い、とびきりの蕎麦を出す。しかし値は安い。幾ら売れても材料費に食われ、儲けは知れている。蕎麦が苦手な者にもつる屋に足を運んでもらえるような、お客の幅を広げるような肴を作ることが、種市への何よりの恩返しではないだろうか。澪は上等な鰹節の出汁がらを捨ててしまうのは何とも惜しいと、天性の味覚と負けん気で日々試行錯誤を重ね、常連客で一刻者の浪人・小松原をも味方につけ、ぴりから鰹田麩(かつおでんぶ)という一品を作りあげた。これが巷の評判を取った。

どんなに辛くても、落ち込んでも、常に前向きな澪に、自分も頑張ろうと励みをもらえる素敵な作品。また大阪と江戸の食の違いも詳しく並べられていて、そこも興味深く楽しむことができた。大阪人である読者が東京へ旅したとき、まず一番に確認したのはうどんの汁。濃いとは聞いていたが、その黒さは予想以上。驚きながらも、美味しく頂きましたとも。でも西と東ではその常識が二つにわかれ、某カップ麺では、西はW、東はEと側面に印字され、地域によってスープの濃さが違う商品が実際に販売されている。これ、ほんと。

そうした食文化だけでなく、風土の違いにも毎回驚きながら、澪はやがて店そのものを任されるようになり、種一や芳に深い愛を持って見守られ、源斉や小松原の一言をヒントにし、おりょうら長屋の住人の人情にも助けられ、両の眉を下げながら健気に頑張り通した結果、つる屋はついに料理番付に載るほどの人気店になっていく。人気がでれば、澪の腕を妬み嫉み、料理番付で最高位の料理屋「登龍楼」が非道な妨害をしかけてくるが、料理については一切の妥協を許さない澪にとって、それは乗り越えられない苦難ではない。

全四編が収録されていて、各編を読み終えるたびに、なんとも言えぬ幸福感が押し寄せてきた。今回シリーズ第二弾「花散らしの雨」の発売があって、たまたまどど~んと書店の棚に積まれているのを発見し、そこに店内放送で著者自身による販促テープが流れてきて、なんとなく二冊を手に取ることにした。これが大当たりだった。今からでも遅くありません。美味しそうな料理の数々と温かな人情に癒されること間違いなし。文庫書き下ろしなのでぜひ買って、これからのシリーズを一緒に揃えていきましょう。おすすめです。

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comments

こんにちは。すっかりご無沙汰しておりました。
久しぶりにTBを送ったら通ったのでびっくりしちゃいました(笑)

この作品、良かったですよね~。ぐしぐし泣きつつ温かい気持ちになれました。
2作目も入手済みなので早く読まなくちゃ!

すずな:2009/11/07(土) 15:21 | URL | [編集]

すずなさん、ご無沙汰です^^;
読むこと、書くことで精一杯になり、遠征する時間がなくなっちゃいました。

澪の健気なところや頑張りに、すっかり保護者気分になってしまいました。
自分も二冊目を確保してま~す♪

しんちゃん:2009/11/08(日) 21:40 | URL | [編集]

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八朔の雪 みをつくし料理帖(高田郁)


ぐしぐしと泣きながら読了。は~良かった。。。

2009/11/07(土) 15:14 | Bookworm

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