--

--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

スポンサー広告
トラックバック(-)  コメント(-) 

    2009

11.13

「雪だるまの雪子ちゃん」江國香織

雪だるまの雪子ちゃん雪だるまの雪子ちゃん
(2009/09)
江國 香織山本 容子

商品詳細を見る

山のふもとの、小さなしずかな村のはずれに、雪だるまの雪子ちゃんはひとりで住んでいる。雪子ちゃんは雪だるまですから、雪でできている。でも雪子ちゃんは正真正銘、野生の雪だるまだった。そして、そのことをたいへん誇りに思っている。じっさい、雪子ちゃんがはじめてふつうの雪だるまを見たときの驚きようといったらなかった。こわいと心も体も凍りついたようになって、一歩も動けなかった。そんな雪子ちゃんの性質を、誰よりも心配していたのは雪子ちゃんのお父さんであった。野生の雪だるまはみんな、そもそもひとりでこの世に生まれてくるのだが、家族の記憶を抱いて、雪だるまたちは生まれる。

「こわいと思ったら、力いっぱいにらみなさい」記憶の中の雪子ちゃんのお父さんは、まだ小さかった雪子ちゃんに、たびたびそう言いきかせたものだった。そういうわけで、雪子ちゃんはこわかったので、すこしはなれた場所から、でも、力いっぱい――。ややよごれた雪でできたその巨大な雪だるまは、にらみかえしてこなかった。ところで、お父さんの助言にはつづきがあった。世の中には、にらみつけるまでもなく危険なものもある。火とか、のどをかわかした動物とか、わるい人間とか。そういうものには近づいちゃいけない。いまのところ、雪子ちゃんの知っている人間たちはぜんぶいい人だった。

お友だちの百合子さんは、もうずいぶん年をとっていて、しわしわですが、元気で陽気な女の人。彼女は画家で、雪子ちゃんの家のお隣さんである。たるさんは百合子さんのお友だちで、雪子ちゃんともお友だち。三人は、夜おそくまで、おしゃべりしながらトランプに興じる。家の天井うらや壁のすきまに住んでいたねずみたちは、雪子ちゃんがあとからやってきて家をとってしまったようで、すこし気がとがめ、おわびと友好のしるしにごちそうする。ちなみとりゅうは家が隣どうしで、同じ小学校の、おなじ組。雪子ちゃんは気がむいたときだけ、ちなみとりゅうのいる小学校にかよいはじめた。

雪だるまの雪子ちゃんにとっては、毎日が冒険。学校にいくことも、字が読めるようになったことも、お友だちができたことも、こわがるあまり凍りついてしまわないように気をつけることも、お散歩も、夜のドライブも、たき火も、雪合戦も、なわとびも、よその家からのおまねきも、野性動物を見つけることも、毎日が新しい発見の連続。雪子ちゃんはいつか「とけちゃう前に」たくさんのものを見る。ささやかな喜びを見つけて一日を大事に生きることは、すなわち命のきらめき。一見かわいらしさに目がいきがちだけど、楽しく生きることに貪欲な雪子ちゃんは、立派な野性の雪だるまであった。


江國香織さんのサイン。

江國

他のサイン本はこちらをクリック。→「サイン本」

ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

江國香織
トラックバック(0)  コメント(0) 

Next |  Back

comments

コメントの投稿











 管理者にだけ表示を許可
trackback
この記事のトラックバックURL

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。