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    2009

11.20

「コイカツ-恋活」坂井希久子

コイカツ―恋活コイカツ―恋活
(2009/07)
坂井 希久子

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柿崎教授の、ソフトな命令口調が好きだ。さあ、お踏みなさい。最初は、シュークリームだった。今、私の足元にはゴカイの山がある。釣りのエサに使う、ムカデの子分みたいな虫だ。えいやと踏み潰す。サンダルを通して、弾力のある柔らかいものが弾ける感触が伝わった。後はもう無我夢中だった。ぐちゃり、ぐちゃり。教授は床に頬をつけて、至近距離でゴカイの大虐殺を観察していた。小さな生き物が踏み潰される瞬間に性的興奮を得る。そういう世間様に認められがたい性癖を、柿崎教授は持っていた。フェチ教授と女子大生の崇高な関係。(「かげろう稲妻水の月」)

香織は専門学校に通うかたわら、チャットレディのアルバイトをして学費を稼いでいた。音声と動画つきのチャットサービス。バーチャルなキャバクラか、映像つきのテレクラみたいなものだ。きららちゃん。呼びかけられて背筋が凍った。それは源氏名だった。香織は声を震わせながらその名を呼んだ。冷凍まぐろ…。冷凍まぐろは独占状態でログインしてくれるヘビーユーザーだった。おびき寄せて捕まえる。彼氏の秀樹は自信満々にそう提案した。ところが血判つきの誓約書を書かされたにも関わらず、冷凍まぐろは香織の前に姿を現し続ける。ネット美女に恋をしたオタク青年の純情。(「チャット・ガール」)

裸主義に目覚めた同僚の藤原は喋り通しだった。だが俺は俺で大変だった。かれこれ五年も同棲している佳苗との仲がこじれて、彼女が実家に帰ってしまった。でも結婚となると話は別。俺は筋金入りの独身主義者だ。佳苗も昔は同じ意見だった。かつては、子供なんて一生産まないと宣言していた。仕事にブランクができるし、それ以前に子供にあまり興味がない。俺の考えもまったくその通りだ。どうして子供なんてほしくなったんだ、と聞くと、佳苗はこう答えたものだ。子宮が呼ぶんだわ。女の性っていうやつ? 独身主義が一転、彼女に子供が欲しいと言われ。(「素っ裸の王様」)

冴子が仕事から帰ると、同棲相手の崇が玄関に飛び出して来た。花粉症が寄生虫で治る。健康番組でやっていたらしい。その教授は寄生虫学を専門にしていて、自らも腹にサナダムシを飼って喜んでいる、一風変わった名物教授だ。冴子は健康雑誌の編集をしている。その番組も毎日録画していた。崇は強くて逞しくて、風邪なんかひいたこともないってタイプだ。その崇が突然花粉症を発症したのは二年前。かなり重症だった。だからといって寄生虫を飼いたいと言われても、賛成できるはずがない。同じ風呂やトイレを使う身にもなってくれと言いたい。彼氏が突然お腹のなかに寄生虫を飼いだした。(「虫のいどころ」)


こういう変テコな性癖や恋愛の作品は普段なら好きだ。しかし、どうも乗りにくい。著者のユーモア感覚と自分のそれとが合わないのだ。全体的にチョイスは面白そうなのに、題材が生かし切れていない。作品の面白さを左右する起承転結も平坦。執筆当時「SMクラブの女王様」だったかもしれないが、それとは作品の評価は別。なぜこんなしょうもないことを公表しているのかが疑問でしかない。もっと練ってから書いていれば、違ったものになっていた可能性がある。そこが惜しい。

個別の感想を短くあげてみると、まず「かげろう稲妻水の月」は、虫嫌いにとってはおぞましいだけで、踏み潰す場面は鳥肌しかでてこない。でもこれは個人的な嫌悪なので気にしない頂きたい。途中でぷっと笑える場面もあったからだ。次の「チャット・ガール」は、某大賞受賞作と似た内容で、パクリ疑惑は別にしても、比べるのも某作品に対し失礼になるほどのお粗末。「素っ裸の王様」は、一番マシな作品だった。裸思想に染まっていくこのバカっぷりは突き抜けていた。バカになるのに理由はいらない。最後の「虫のいどころ」は、女性の心の内面なのか、寄生虫嫌いなのか、読ませたい焦点がぼやけていた。もっと早くに寄生虫を飼いだしても良かったのでは。

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