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    2009

11.26

「闇鏡」堀川アサコ

闇鏡闇鏡
(2006/11/21)
堀川 アサコ

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時は室町初期。舞台は京の都。清原龍雪は、検非違使の少志である。検非違使の役人たちは、犯罪捜査や追跡を任務とするに相応しく、官位などあっても粗暴な者が多い。使庁では指折りの乱暴者として知られる龍雪だが、実は一番の怖がりでもある。妖怪幽霊譚の類が何より怖いのだ。清輔は、龍雪の手先として働いている放免である。放免とは、罪を許された凶状持ちだ。乱暴な者が多い中、清輔は腕っ節も弱ければ体も痩せている。その反面、下手人を捜したりの段になると、人一倍に活躍する。加えて、何の足しになるのか判らない様々なことを、実によく知っていた。

清輔は五条河原で傀儡女の死骸を見つける。女は毒を盛られて死んだらしい。その女の手には絵が握られていた。東風の桃源郷と名付けたその絵は、十年近くも前に清輔自身が描いた物であった。それから半月後、なにやら気配がするという夜の鬼殿で、龍雪と清輔は鬼の謡う唄を耳にする。その戯れ唄は予言であったのか、京洛でも評判の遊女が惨殺された。現場には白拍子の着草と〈割菱の君〉と呼ばれる貴人がいたという。尤も、〈割菱の君〉の正体は誰も知らない。けれど、着草の方は何処へ行ったのか。その着草という白拍子こそは、半月前に毒殺されたはずの傀儡女で。

室町時代の京が舞台という雰囲気作りなのか、読みにくい漢字が至るところで多用されている。一度目はふりがなが振られているが、それ以降はない。その部分は不親切としかいいようがない。わざわざ前のページに戻るのも面倒なので、たぶんこうだろうという雰囲気読みで誤魔化すしかなかった。そこを除けば読みやすく、登場人物の魅力で引っぱる作品だと思う。腕っ節は強いが妖怪幽霊が怖いという主人公の龍雪。何やら過去にありそうな理屈屋の放免・清輔。掏摸上がりの無邪気な放免・蚕児。龍雪の幼馴染で女装癖のある漏刻博士の義時。何かしら隙を持った人物たちだからこそ好ましい。

一方で、何が起こっているのかという事件自体は中々見えてこない。生身の人間の仕業なのか、はたまた龍雪の嫌う鬼や邪による怪事なのか。その辺りは読者をじらせながら、少しずつ提示されていく。また、謎の多い着草という女の前から姿を消したという夫の猪四郎は何処にいるのか。猪四郎は何やら人の世界とは違う幻想的な光景を見ているようで、その部分でも読者の好奇心を煽るような仕掛けが施されている。そうして現実の世界と危うい世界が交錯したとき、一つの真実を浮かび上がってくる。

と言っても、早いうちから読者には手の内が明かされているので、察しのいい方なら気づくかも。また、巻末の著者紹介に室町時代の風俗文化に魅了されたとあるが、時代を室町初期に設定したのは、北畠顕家という南朝の英雄を持ち出したためとしか思えない。その設定だけを外せば、別に平安時代でも構わなかったのでは。そう思える弱さを感じた。第18回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。大賞じゃないのは、その辺りが関係あるのかないのか。ちなみにこの時の大賞作は、仁木英之著「僕僕先生」だそうで。

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