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    2009

12.19

「らいほうさんの場所」東直子

らいほうさんの場所らいほうさんの場所
(2009/11/11)
東 直子

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姉の志津は、インターネット上の占いサイトを毎週更新している。生まれ月で運勢を占うという方法は、志津が独自に考え出したものだ。誰かに師事したということはなく、全くの独学である。最初は、個人の無料サイトとして、ひっそりはじめたものだったのだが、徐々に評判を呼び、スポンサーがつくようになったのだ。それまでは、街の片隅で、占いや人生相談をしていたのだが、今はやめている。志津は、人と直接会うことなく、好きな時間にできる、今の自分の仕事のスタイルに満足していた。

妹の真奈美は市民センターに勤めている。真奈美は、何年も前の姉の言葉を、記憶から掘り起こしては不満に思う。手に職を持っていないのに、堅いとこにまたちゃんと勤められてよかったじゃない。こんな年になるまできょうだいが一緒に暮らしているなんて、思いもよらなかった。せっかく、一度は結婚して出ていったのに、とんだ失敗だった。あんな男にさえ出会わなければ。姉への不平は、十年近く前に別れた元夫への恨みへとつながっていく。気に入らないなあ、あたしの人生。

末っ子の俊は派遣で肉体労働をしている。俊は、自分の身体が大きくなりすぎたことを、悲しく思う。大きくなんか、ならなければよかったのに。小さかったときは、家族が交代で、自分を抱きしめて、大切にしてくれた。もう一度、小さくなることはできないかな、と俊は思う。そうしたら、働かなくてもよくなるだろうし、両親も戻ってきてくれるような気がする。ようするに、俊は体だけは大きいが、いつまでたっても子供のような心を持つ大人になれない弱者だった。

三姉弟が暮らす両親の遺したマンションの専用庭の片隅には、彼らが「らいほうさんの場所」と呼ぶ秘密の庭があった。ある日、やって来たのは、この間スーパーでばったり出会った、志津の昔の客だと名乗った若い女だった。なんだって、家までしつこくつけまわしにきたのか。予期せぬ女の訪問をきっかけに、三姉弟の一見のどかな生活はほころび始める。そして三人が常に気にしている庭の「らいほうさんの場所」とは、はたして何なのか。こんもりと盛られた土の下に何が埋められているのか?

全編がのんびりしていながら、姉の弟に対する異常で過保護な愛とか、そんな二人を見て気持ち悪く思っている妹や、社会に適合できない弟や、占いに逆恨みして嫌がらせをする女など、だんだんと不穏な空気が満ちてきて、どんどん居心地が悪くなってゆく。そして「らいほうの庭」とは、謎に包まれたまま踏み込んではいけない聖域のような、家族の象徴性の高い場所に位置し続けている。いかにも東直子ワールドだ。ある意味ホラーであり、家族の危機と再生の物語としても読める、不思議な作品だった。

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