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    2010

01.08

「花散らしの雨-みをつくし料理帖」高田郁

花散らしの雨 みをつくし料理帖花散らしの雨 みをつくし料理帖
(2009/10)
高田 郁

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江戸の九段坂下、飯田川の川筋から数えて三軒目に、間口三間ほどの二階家があった。その庇に掛けられた看板には「つる屋」の屋号が読み取れる。屋号は店主種市の亡き娘の名前にちなんだものだった。元は神田御台所町に在ったつる家だが、付け火で焼失し、屋台見世を経て、この地に移ったばかり。こぢんまりしていても、一階、二階とも畳敷の部屋は、以前の屋台や床几に比べると、決して気安くはない。だが、馴染み客が居て、料理番付に載った料理屋ということもあって、新しい客も覗きに来る。概ね、商い始めとしては順調と言えた。

女料理人の澪。店主の種市。以前の奉公先の女将だった芳。同じ裏店の住人おりょう。御台町の頃なら、それで手が足りた。だが、店が座敷になると、お客の履物の世話が大変なのだ。そこでふきという十三の少女を下足番として雇い入れた。ふきのふた親はすでになく、その身の上は十二年前の澪自身に重なった。澪の新作料理と全く同じものがつる家よりも先に、神田須田町の登龍楼で供されているという。さらに新しく考案した看板料理も先を越されてしまう。情報を登龍楼に流すことが出来るのは、つる屋の中ではひとりきりだった。「俎橋から-ほろにが蕗ご飯」

大きな徳利を後生大事に抱える行き倒れを澪は助けた。彼の名は留吉と言い、房州は流山の酒屋の奉公人で、店主苦心の品を、あちこちに売り込んだが全く相手にされず、終いには因縁をつけられて袋たたきにされたのだそうな。留吉の徳利の中には上等の味醂が入っていた。澪は大阪ではこぼれ梅と呼ばれる味醂の絞り粕を思い出す。澪も幼馴染も大好きだったおやつだ。澪は思う。野江が生きていること。その正体が吉原では幻のあさひ太夫であること。どちらも種市を始め、周囲には誰にも打ち明けていない。その野江が斬られて怪我をしたという。「花散らしの雨-こぼれ梅」

太一が麻疹に罹った、という噂は狭い裏店中を駆け巡る。まだ幼い子供をかかえる親たちは、井戸に水を汲みにおりょうが姿を現すと、蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う。我が子を守るためには仕方のないこと、当然のこと、と頭ではわかりながら、澪はおりょうや伊佐三の気持ちを思うと、どうにも居たたまれなかった。おりょうも居らず、芳も看病を手伝いに抜けるとなると、つる屋は人手不足になった。手伝いに来たのはりうさん。齢七十五と聞いたが、若い頃によく働いたのだろう、身のこなしも思いのほか軽やかで、澪は内心ほっとしていた。その矢先、おりょうが麻疹で倒れた。「一粒符-なめらか葛饅頭」

蛸と胡瓜の酢の物を、客たちはあちこちで、ひとくち食べては、ありえねぇ、という声が洩れる。そのうちに誰も「蛸と胡瓜の酢の物」などと正しい名前で呼ばなくなり、ありえねぇという注文が入るようになった。その「ありえねぇ」が評判になればなるほど、つる屋の暖簾を潜る侍は激減した。遠回しに理由を尋ねても、顔をしかめて返事をせずに、何やら怒った顔で帰っていく。同じ頃、その娘は、明らかに澪を見ていた。否、睨んでいた、言っても良い。誰だろう。澪が軽く会釈してみせると、娘はぷいと視線を逸らせて、慌しく立ち去った。「銀菊-忍び瓜」

今回も上方と江戸の食文化の違いが描かれ、登場人物たちがコミカルで、江戸人情に温かな気持ちになり、その人を想う心遣いにぐっとくる。また、澪たちつる屋の面々、医師の源斉先生、武家の小松原、幼馴染の野江や又次の他に、今回は戯作者の清右衛門が新たに登場する。そうした温かな人々に囲まれ 教えられ 見守られて 澪は一つ一つ試練を乗り越え 料理人として成長していく。さらに澪は生まれて初めて「恋」という感情に気付くのだ。今後も益々目が離せない展開が待っていそう。シリーズ第三弾にも期待したい。


高田郁さんのサイン。

高田1

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花散らしの雨 みをつくし料理帖(?田郁)


シリーズ2作目。連作短編集。

2010/03/22(月) 12:50 | Bookworm

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