--

--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

スポンサー広告
トラックバック(-)  コメント(-) 

    2010

03.15

「愛は苦手」山本幸久

愛は苦手愛は苦手
(2010/01)
山本 幸久

商品詳細を見る

“アラフォー”って自分では笑って言えるけど、他人にそう呼ばれると、なぜか嫌。20代はみんな私に優しくて、30代も大丈夫と思ってて。でも、気がついたら前に進めないよ…。愛についてふと考える彼女たち―連作短篇集。「カテイノキキ」「買い替え妻」「ズボンプレッサー」「町子さんの庭」「たこ焼き、焼けた?」「象を数える」「まぼろし」「愛は苦手」を収録。

ミシンがでてきた。結局つかったのは、娘の晴美が幼稚園か小学校にあがりたての頃だ。学校でつかうぞうきんや工作袋をつくってあげたはずだ。お母さん、ありがとう。あの頃は口癖のように晴美は毎日言ってくれた。高校生になったいまのあの子のありがとうは、バイト先の回転寿司のお客のためだけになってしまった。(「カテイノキキ」)

悦子は、牛丼屋でバイトを始めた。四十前にバツイチの男と職場結婚し、寿退社をして、東京都下に暮らしている。たしかに彼の家はなんでも揃っていた。だがそれは秀隆の前妻が揃えたものだった。そんなものは使いたくない、と悦子は言わずにおいた。時間をかけても、少しずつでも、ぜんぶ買い替えてしまおう。そう心に誓った。(「買い替え妻」)

テレビの中では、一介の大学教授にすぎない元夫をなぶりものにしている。父さん、芸能プロダクションに入ったんだって。娘の理名が教えてくれた。汚い部屋だ。死んだ母親によく注意されたものだ。元夫や娘にも。その娘も、高校卒業してすぐ、結婚してうちをでていってしまった。恵利の部屋に相談にやって来たのは…。(「ズボンプレッサー」)

猫の額と呼ぶにふさわしい狭い庭には、前の住人の趣味で、さまざまな草木が植えられていた。引っ越してから一ヶ月、仕事が忙しくて手をつけていないせいで、草木は伸び放題、雑草も生い茂っている。いずれも老人だった。ほとんどの人が可憐の家の前で足をとめ、庭を見ていく。そしてけっして好意的とは言えない反応を示した。(「町子さんの庭」)

ようやくしだした大掃除の途中、シンク下の収納場所からたこ焼き器がでてきた。これは元上司の一旗さんの家から借りてきたものだ。まだ仕事をしている頃である。その夜、帰宅した夫から一旗さんが亡くなったことを聞いた。自然とたこ焼き器に目がいった。途端、借りた日のことをはっきりと思い出すことができた。(「たこ焼き、焼けた?」)

だいじょうぶかい。だいじょうぶですか。養父と真紀は始終、お互いこの言葉を言いあっている。後期高齢者と妊婦がふたりでいれば自然とそうなるのかもしれない。一緒に暮らして一ヶ月、夫の宏治は仕事が忙しく、そのあいだ、彼の父とはいえ他人と広いとは言えないアパートの一室で一緒にいるのはどうしても緊張を強いられる。(「象を数える」)

選挙で駒坂九助は落選した。これまで三十年近く衆議院議員の地位にあり、三度入閣したにもかかわらずだ。衆議院議員が落選するとなにになるのか。答えは無職のおじさんだった。駒坂の愛人、藤堂美鈴は一方的な解雇を言い渡された。住むところもブラックカードもホストもバカラのグラスもヴィトンもグッチもすべてが消えていく。(「まぼろし」)

茂絵の勤める針糸本舗は駅ビル内にある。洋服のお直しの店で、子供の幼稚園グッズは余技というか副業のようなものだ。茂絵を含めてスタッフは四名。早番遅番と分かれ、店には常に二名いるようシフトが組まれている。遥は格好も戸籍も男だ。しかし心は違う。仕草も女そのものである。最近、遥は恋人との仲がぎくしゃくしているらしい。(「愛は苦手」)

これまで読んでいた山本作品とは一味違う。だけどこの既視感は何だ? 主人公は四十代の女性。最近ではアラフォーなんて言ってるけど、独身なら三十代よりプレッシャー強し、子供がいれば子供のことが判らなくなり、夫は夫で化けの皮がはげているし、専業主婦になっていれば働いていた頃を思い出す。また双方の親の立場もあり、さらに離婚していれば…。そうだ。これは平安寿子さんの得意分野だった。

三十代、四十代は、人間ドラマの宝庫だ。それも男性より女性の方によりあると思う。女性はなんでもない日常に、怒り、哀しみ、憎しみ、虚しさ、悔しさ、切なさ、そして愛おしさまで、さまざまな感情がいっぺんに押し寄せ、胸をかき乱されるのだ。働いて稼ぐことが偉いと思っている男にはないところで揺れている。そこが面白い。乱れる女心は平さんと比較しがちだが、でも著者は男性だ。これは☆五つをあげてもいいような。

ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

山本幸久
トラックバック(1)  コメント(2) 

Next |  Back

comments

同世代で同性の私には微妙な物語でした。
どれも状況は共感できたり、分かるんですけど・・・でもこれといってインパクトないんですよね。
しいていえば、一旗さんはいい人で、最期のお別れには行って欲しかったなって思うんですけどね~。

じゃじゃまま:2010/05/19(水) 11:49 | URL | [編集]

じゃじゃままさん
微妙でしたか…。自分は、平安寿子っぽくて好きでした。
この褒め方は著者に対してある意味失礼かもしれませんが^^;

しんちゃん:2010/05/25(火) 21:30 | URL | [編集]

コメントの投稿











 管理者にだけ表示を許可
trackback
この記事のトラックバックURL

愛は苦手 山本幸久著。


≪★★★≫ 愛に出会ったり、見つめ直す、アラフォー世代の女たちの生きる物語。 「カテイノキキ」 なんだか分からないセンスの服を着ている高校生の娘と、そんな娘に相手にされてない夫。昔使ってたミシンを偶然見つけ、忘れかけてた家族の絆を再確認した、ささやかな物

2010/05/19(水) 11:46 | じゃじゃままブックレビュー

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。