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    2010

03.27

「真綿荘の住人たち」島本理生

真綿荘の住人たち真綿荘の住人たち
(2010/02)
島本 理生

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それは由緒正しい木造二階建てのアパートだった。東京は江古田にあるレトロな下宿「真綿荘」。一階には、恋愛小説家でもある大家の綿貫さんと、大家の内縁の夫で画家の晴雨(せう)さん。二階には、男嫌いで愛想はないけど面倒見の良い事務員の椿さん。大柄なのがコンプレックスで自分に恋など似合わないと思っている性格の良い女子大生の鯨ちゃん。大学に入ったら可愛いい彼女をつくると心に誓う北海道からやって来たばかりの大和くん。彼ら住人の恋はどれもままならない。

昔ながらの風景が残る江古田という町の情景や、間取り図のある木造二階建ての真綿荘の描写など、どこもかしこも開発が進む現在において、どこか懐かしい場所に安心感を覚える自分がいた。実際に寮生活をしたとか、下宿したとか、そういう集団生活をした経験はない。だが、同じ釜の飯を食っていることで生まれる第二の家族という感覚は、ひと昔前の昭和年代の人なら、不思議となんとなくノスタルジックで既視感ある光景に思えてくるだろう。

女子高生の八重子と付き合っている椿さんは、女同士の恋人の一途な愛情表現に戸惑い、大和に片想い中の鯨ちゃんは、親切だと思っていた先輩に告白されて揺れ、彼女が欲しい大和くんは、壮絶に性格の悪い大学の先輩美女からかけおちを誘われる。住人それぞれを主人公とする一話完結の連作短編であり、そして全編を通して浮かび上がってくるのは、十七年前にただ一度関係をもったきりの男を内縁の夫と呼んでいる大家の綿貫さんとそれを否定も肯定もしない晴雨さんの関係である。

クールな椿さんや、清楚な鯨ちゃんや、楽天的な大和くんがとにかく可愛い。男女に関係なく、ぎゅっと抱きしめたくなる愛おしさだ。また真直ぐな八重子や、気弱な荒野先輩や、振り回し系の絵麻さんと、少し変わった個性の脇役たちも憎めずに面白かった。それと引きかえ、綿貫さんと晴雨さんのいびつな関係は…。時間も文体もガラリと変わり、異様な雰囲気でもって、謎が謎を深くし、でも妙に色っぽくて、お互いにしか理解できない世界観が、島本風の小宇宙を創っていた。

デビュー作の頃の軽いノリと、第二期の暗くてエロい、もとい、ある意味で深い恋愛を、力技でぐぐっとくっ付けた作品だと思った。そしていわゆる文学ってやつになっている。あと、島本作品に共通しているダメ男も健在! しかも今回はとびきりのダメ男だった。その男に惹かれた女もダメっぽくて、ダメだと気づいたまともな人は離れていく。しかし、こういう居心地良さそうな下宿なら住んでみたい。しかも、女子率の高い下宿って、ねえ。

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島本理生
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comments

力技でぐぐっと、に吹き出してしまいましたが、とても納得です。
前半ちょっと退屈だったのですが、後半から確かに文学になっていたような気がしました。
トラックバックさせていただきました★

鳩羽:2010/03/31(水) 23:06 | URL | [編集]

鳩羽さん
自分は反対で、前半部分が楽しくて、後半はちょっと苦手でした。
正直、文学ってよくわからん^^;

しんちゃん:2010/04/03(土) 13:26 | URL | [編集]

こんばんわ。TBさせていただきました。
私も前半が好きで、後半が苦手でした。
綿貫と晴雨の関係がいまいちよくわからなかったんです。
同じく、他の住民はかわいくて、ぎゅっとしたくなるんですけども^^

苗坊:2010/06/11(金) 18:52 | URL | [編集]

苗坊さん、こんばんは。
綿貫と晴雨の関係はお互いにしか理解できない世界でしたね。
そこは置いて行かれた感はあるものの、前半の若者たちは親近感がありました。
+と-で差し引きゼロ。なんじゃそりゃ(爆)

しんちゃん:2010/06/12(土) 21:59 | URL | [編集]

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