警視庁刑事部捜査第一課殺人犯捜査第十係。姫川令子はその第二班、通称「姫川班」の主任を務めている。東中野にあるマンション一室にて、男の惨殺死体が発見された。マル害氏名、小林充、二十九歳。大和会系、石堂組傘下、仁勇会の下部組織、六龍会の構成員だった。捜査本部は小林充についての調べを進めていたが、これといった成果はあげられずにいた。そんななか、玲子たちは、上司である今泉係長から奇妙な指示を受ける。捜査線上に「柳井健斗」という名前が浮かんでも、決して追及してはならない、と。
謎の女からのタレ込み電話。小林殺しの犯人は、柳井健斗、二十六歳。九年前に起こった事件の被害女性、柳井千恵の弟が、柳井健斗。一方、事件の重要参考人だった父親、柳井篤司は、警察署内で警官から拳銃を奪って自殺。最終的に検察と警察が選んだのは、被疑者死亡により不起訴という幕引き。この事件で、当時の刑事部長を始めとする、捜査責任者は全員更迭。拳銃を奪われた巡査部長は、勤務中に交番で首吊り自殺をしていた。そして、今回殺された小林充は、千恵の元恋人だった。
石堂組若頭補佐の牧田勲。柳井健斗とは、単なる情報屋と客以上の付き合いをしてきたつもりだった。ある意味、信頼もしていた。その柳井が飛んだ。石堂組長の病状は思わしくない。そんなときに、共に石堂組を支え、跡目筆頭と目されている若頭で仁勇会組長の藤元が、おかしな動きを見せていた。柳井健斗は、仁勇会絡みのネタを握っている。それを上手く使えば、いま石堂組が抱えているゴタゴタを、綺麗さっぱり掃除することも不可能ではない。その肝心の柳井が、姿をくらましたのだ。
女刑事の姫、ヤクザの牧田、謎の男・柳井。この三視点でもってストーリーは展開し、やがて姫川は牧田をヤクザと知らずに出会い、惹かれていく。決して幸せな結末を迎えられるはずはないと知りつつも、つい姫と牧田の仲を応援したくなる。また読者をそう思わせる禁断のデート場面が…。それらと共に、少しずつ現在の事件と過去の事件の本質が見えてくるのだ。今回で第一シリーズは終わりなのかしら。そういうエンディングだったので、これには正直驚いた。でも帰ってくるんだろうな。姫は人気者だから。
単行本と文庫本を併せて、これで五冊目となる、誉田哲也さんのサイン。

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