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    2010

04.20

「掏摸」中村文則

掏摸掏摸
(2009/10/10)
中村 文則

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お前は、運命を信じるか? 東京を仕事場にする天才スリ師。彼のターゲットはわかりやすい裕福者たち。ある日、彼は「最悪」の男と再会する。男の名は木崎―かつて一度だけ、仕事を共にしたことのある、闇社会に生きる男。木崎はある仕事を依頼してきた。「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。もし逃げれば…最近、お前が親しくしている子供を殺す」その瞬間、木崎は彼にとって、絶対的な運命の支配者となった。悪の快感に溺れた芥川賞作家が、圧倒的な緊迫感とディティールで描く、著者最高傑作にして驚愕の話題作。《出版社より》

スリの場面は圧巻だ。そのスリリングな瞬間にゾクゾクする。だが主人公の僕はどこまでもクールだ。そんな僕が回想する。三本の指で財布を挟み、僕に後ろ手に渡し、僕が中身を抜いて彼に戻した時には、もう次の財布を取り、相手に視線を向けず腕を当て、またポケットに財布を戻す。僕の目に、彼の動きは、その人生の美の一つだった。その彼、石川は死んだ可能性が高く、東京に戻れば、自分も安全ではないはずだった。その大がかりで強引な事件を計画したのが、木崎という謎の男だった。

木崎が今また、眼前に現れた。木崎は三つのスリを僕に強要する。仕事に失敗すれば、僕を殺す。仕事を断れば、子供が死ぬ。その子供は、母親からスーパーで万引きの手伝いをさせられていた。その子供との交流は、裏社会を描いた作品の世界観の中で、一服の清涼剤のように爽やかだ。いつしか僕は、その子供に、自分の少年時代を重ねてみたりもする。子供の先行きだって心配する。それ故に、盗んだ金にも執着することがなかった僕の、足かせになっていた。

それまでは、幸福とは言い難い過去を持つが、ある意味で自由だった。スリの仕事だって、自らの積極的な意志でやってきた。貧しい者からは盗まないという制約も、僕なりの犯罪の美学だ。そこに、運命の支配者である木崎という絶対的な悪意が、僕をどっぷりと呑み込んでいく。ここでは、木崎という謎の男の人格や背景は重要ではない。圧倒的な悪意が、たまたま木崎という人の姿形をとっただけだ。主人公の僕の運命はいかに。緊迫感ある描写と疾走感あるストーリー展開とで、ぐいぐい引き込まれる読書となった。そして、妙に後を引く。


中村文則さんのサイン。

中村

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comments

はじめまして!ブログ村で見て訪問しました。すごい読書量ですね。私も本ブログを書いていますが及びません・・・。今SF以外で何か面白いものがないか探しています。今後参考にしたいのでまた訪問させてください。

somesei:2010/04/22(木) 13:29 | URL | [編集]

someseiさん、はじめまして。
ありがとうございます。作家読みしている結果がこれです。
でも時間があればもっと…と本人は思っていますが^^;
自分がアンテナしている読書家さんたちも参考になると思いますよ。

しんちゃん:2010/04/24(土) 22:23 | URL | [編集]

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