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    2010

04.24

「岸辺の旅」湯本香樹実

岸辺の旅岸辺の旅
(2010/02)
湯本 香樹実

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餡をこしらえ、さてこれをしらたまでくるもうと思ってふと顔をあげると、夫の優介が立っている。優介がいなくなって三年が経つ。ただし、夫の体は、とうに海の底で蟹に喰われてしまったという。髭も伸びる。好物のしらたまも食べる。仕草も癖も、なんら変わりはない。だけど、死んだということは事実らしい。ここまで歩いて戻るのに三年もかかってしまった。そこから、二人は旅に出る。それは、夫の優介が歩いて帰ってきた道を、今度は逆にたどる旅だった。

港町の寂れた商店街にある島影さんの新聞販売店、神内さんとその妻フジエさんの営むギョーザのおいしい中華料理店、星谷老人が栽培しているタバコ農園。行く先々で心温かい人々と交流しながら、二人はしきりに語り合い、それぞれの人生を振り返る。親とのあつれき、ピアノへの思い、夫の不倫。夫婦ふたりともお互いのこと、知らないのに知っているつもりになっていた。もっと前から知っていれば、知らないって知っていれば、何か変わったと思う? もっと前から…。

死んだ者どうしは会えない。死者は断絶している、生者が断絶しているように。死者は繋がっている、生者と。生者が死者と繋がっているように。それは多分、生きている者同士は、夫婦や子供でも、他者である、ということなのか。この夫婦は、死者となって語り合うことで、初めて繋がることができるのだ。彼らが行くところ、常に、水の音が聞こえてくる。運河の音、波の音、深夜電力を利用した温水器にお湯がぽたりぽたりと蓄えられている音、水量豊富な滝の音。それは、彼らが、三途の川の岸辺にいるからだろうか。

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湯本香樹実
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