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    2010

05.19

「ダウンタウン」小路幸也

DOWN TOWN/ダウン タウンDOWN TOWN/ダウン タウン
(2010/02/19)
小路 幸也

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カウンターの端に座って、中にいるカオリさんにモカを注文したい。ユーミさんに特製ハムトーストを作ってほしい。隣に座ったりょうさんにからかわれたい、後の席のシオネさんと口げんかしたい、向こうで大笑いするアイコさんに、「よっ」と言いながら入ってくるカンさんに、苦笑いするケンゾーさんに、スケッチしているミーさんに、本を読んでいるくるみさんに、煙草を吹かすリサさんに、恥ずかしそうに微笑むモンちゃんに、静かに頷くバンビさんに。

〈ぶろっく〉の仲間と、ずっとこのまま楽しく過ごしていきたい。東京の大学に行くことを考え始めたときからずっとその思いは消えなかった。消えないけど、それを振り払って、行くことを決めた。行かなきゃダメだって、皆に教えられた。考生にも――。中学の二年先輩。生徒会長だったユーミさんと再会したのは、高校一年から二年生になる春休みの終わり頃。わたしね、今、ここで働いているんだ。いいお店だから、今度コーヒー飲みにおいでよ。そうして訪れたのが、男子禁制の噂がある、喫茶(ぶろっく)だった。

できれば、毎日でも〈ぶろっく〉に通いたかった。どうしてそんなに通いたいのか、自分でもよくわからなかった。別にあそこにいる誰かを好きになったわけじゃない。確かにお世辞抜きできれいな人が多いけど、でも、そんなのじゃなかった。どうして通うのかと言われれば、居心地がいいから、としか答えようがなかった。僕の居場所は、自分の家と学校だけだ。その二つより、〈ぶろっく〉は遥かに居心地が良かった。あのカウンターに座っていると、楽に呼吸ができるような気がしていたんだ。

同じ軽音楽部で、組んで始めた孝生。中学校でも同じクラスで、いつの間にかつきあっていたやよい。孝生の彼女で、活発という言葉がとても似合う奈々美ちゃん。四人で過ごすときは、いつも楽しかった。この時間も大切だなって思っていた。どっちも大切なんだ。でも、何かのときにどっちかを優先しなきゃならないときは、僕は〈ぶろっく〉を優先していた。〈ぶろっく〉にいれば誰かに合わせる必要はない。ただ、僕自身としてそこにいればいいだけだから。

本当に気が合う仲間が過ごす〈ぶろっく〉という喫茶。大人の女性たちの集団になれば、おいそれと他人には話せない事情をお互いに知るようになる。〈ぶろっく〉の仲間は、そういうものを共有しているのだった。もっと知りたい。常連として認めてくれて仲間に入れてはいるけど、奥のほうまでは踏み込ませないほうがいいと思っている。そして少しずつ明らかにされていく様々な大人の事情に読ませどころがある。

そうして、そんな大げさなものじゃないんだけど、孝生と組むようになって、〈ぶろっく〉に通いだして、いろんなことを経験して、誰かのことを思うときの気持ちに幅がでるように感じていく。それは、単純に少し大人になった、なんてつまらない表現ではない。それまで会うこともなかったたくさんの人に会うようになって、その人たちの考えや生き方を感じるようになって、だから、自分で考えるときにもいろんなことを思えるようになるのだ。これは素晴らしい一冊だと思う。もちろん、おすすめです。

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小路幸也
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comments

「ぶろっく」で過ごした時間があるショーゴって、いいな~。
そんな場所や仲間がいて、男子の物語だなって思いました。

じゃじゃまま:2010/06/14(月) 10:41 | URL | [編集]

じゃじゃままさん
逆に、イケメンばかりの中に女子ひとりだったら…。
この設定で思い浮かぶのは、ホストに囲まれたホステスぐらいでしょうか^^;

しんちゃん:2010/06/19(土) 22:16 | URL | [編集]

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DOWN TOWN/ダウンタウン 小路幸也著。


≪★★★≫ 1979年。あと一週間で19歳になる水曜日。ショーゴは住み慣れた町を離れ、東京の大学へ旅立つ。 高校生活で、大切だった「僕」の場所、「ぶろっく」。 そこで出会い、仲間と過ごした時間。 そんな大切な仲間と時間と別れを告げる。 ショーゴが過ごした、...

2010/06/14(月) 10:39 | じゃじゃままブックレビュー

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