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    2010

05.25

「天国旅行」三浦しをん

天国旅行天国旅行
(2010/03)
三浦 しをん

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不謹慎だと思うが、時々、このまま楽に死ねたらいいのに、と思うことがある。それは、仕事の失敗であったり、プライベートなへこみであったり。でも結局それらは責任逃れの感情であり、現実逃避だったりする。実際に死ぬ勇気がないから、短絡的にふと思うだけだ。それは「死にたい」ではなく、「楽に死ねたら」と思っている時点で、本当に死ぬ気はないのだ。楽になりたい、逃げたい、これが正解なのかもしれない。

さて、それでは一緒に死のうとする心中はというと、これにはまったく縁がない。三浦しをんは何故、こんなにも共感しにくい心中というテーマを小説にしたのか。それは彼女の視線が、少女漫画や古典芸能に向いている故かもしれない。だが、これが中々読み応えある作品集なのだ。わかりやすい心中があれば、どこが心中?と首を傾げたくなる物語もある。でも心中なのだ。死が、人と人とを繋ぐからだ。

富山明男は、富士の樹海で首吊り自殺を試みるが失敗。気がつけば、青木を名乗る男に介抱されていた。男は笑っているようだ。この男は、樹海でなにをしているんだろう。怪訝に思いながらも、「コンパスだけで樹海を突っ切る」という男と共に歩くことにした明男は・・・。(「森の奥」)

「やっぱりあのとき死んでおけばよかったんですよ」きみの言うとおり、死んでおけば簡単だった。小言を浴びせることも浴びせられることもなく、今月の生活費に頭を悩ませることもなく、うつくしい思いだけを抱えていられただろう。しかし残念ながらわれわれは生きている。(「遺言」)

その男は、ウメおばあさんの初盆にやってきた。いままで存在すら知らなかった私のいとこだった。ウメおばあさんは辰造おじいさんと結婚するまえ、べつの男性と結婚していた。それが彼の祖父である石塚修一さんだった。石塚は、なんとも不思議な話を語りだす。ウメおばあさんの秘めた過去とは。(「初盆の客」)

子どものころから不思議な夢を見る。「夢」という言葉を使っているが、本当のところ、それは理紗にとって「もうひとつの生」だ。眠りにつけば、小平との生活がはじまる。小平は理紗をお吉と呼ぶ。江戸で小平と暮らすお吉は、自分の前世の姿ではないか。理紗は、小平と今生でまた会いたいと願っていた。(「君は夜」)

立木先輩をいつも見ていた。思いは私だけのもの。私の心のなかでだけ息づくもの。楢崎初音は化粧おばけの頭目のくせに、悔しいことに薄化粧だ。そんな初音が立木先輩とつきあっていることは、緑高生のほぼ全員が知っていたはずだ。立木先輩は夏休み最後の日に焼身自殺した。なぜ死んだ?「炎」

僕は香那が死んでしまったことにしばらく気づかなかった。どうやら香那は死んだらしく、しかもいま僕の隣にありありと存在する。香那は昼も夜も僕と一緒にいる。僕がご飯を食べ、勉強し、友人と話すのを、そばで見聞きしている。僕は幼いころから霊が見える体質だった。(「星くずドライブ」)

日高悦也は、一家心中の生き残りだ。悦也自身はよく覚えていない。どうやって自分だけ生きのびたのか、なぜ両親が我が子もろとも死ぬことを選んだのか、心中に及ぶまえ、家族でどんな暮らしを営んでいたのか。けれどもたまに、いつ見たのかも、本当に見たのかも定かでない情景が浮かびあがる。(「SINK」)

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三浦しをん
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comments

こんばんわ。TBさせていただきました。
私は、しをんさんはまた特殊なテーマで書かれてるなぁくらいにしか考えてなかったです^^;
確かに古典芸能では心中って出てきますよね。
テーマは暗いのに、面白いと思って読みました。こんないろんな形の心中の話を書けるしをんさんはすごいです。

苗坊:2010/06/19(土) 00:15 | URL | [編集]

苗坊さん、こんばんは。
「光」のようなある意味で突き抜けた作品ではなかったのですが、ここにある少しの軽さによって、マンガのこととか、古典芸能のこととか、エッセイとリンクさせた自分がいました。実際はどうなんでしょうね^^)

しんちゃん:2010/06/19(土) 22:44 | URL | [編集]

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天国旅行 三浦しをん


天国旅行クチコミを見る そこへ行けば、救われるのか。富士の樹海に現れた男の導き、死んだ彼女と暮らす若者の迷い、命懸けで結ばれた相手への遺言、前世を信じる女の黒い夢、一家心中で生き残った男の記憶…光と望みを探る七つの傑作短篇。 「森の奥」 樹海で明男は

2010/06/19(土) 00:08 | 苗坊の徒然日記

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