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    2010

06.13

「あのとき始まったことのすべて」中村航

あのとき始まったことのすべてあのとき始まったことのすべて
(2010/03/26)
中村 航

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営業マンとして働く僕は、今夜、仕事が終わってから、中学の同級生の石井さんと会う約束をしていた。彼女に会うのは中学を卒業して以来で、ちょうど十年ぶりということになる。あの頃、僕らの日々は、コップの中のカオスのように揺らいでいた。不良はワルぶり、おしゃれさんは前髪を整え、普通の者は背伸びをし、面白男子はおどけた。部活小僧やスポーツガールは基礎体力を伸ばし、サブカル者やガリ勉君は己の道を行く。男子と女子は、一つの箱の中で、沸点を忘れた液体のようにもみあっていた。

僕は多分、普通の男子だったと思う。ちょっと面白男子寄りで、スポーツ方面にも足を突っ込み、不良の分野にもほんのちょっとだけ係わり、ごく稀にガリ勉軍団にも顔をだし、サブカル者を遠目に眺める。休み時間には隣の席の女子を笑わせる。笑わせるというのは例えば、毎日机を寄せ合って給食を食べていた石井由里子さんだった。昨日まで思い浮かべることのできなかった中学時代の思い出は、当時の面影を残す石井さんを目の当たりにすれば、十年の時を超えて清らかに甦ってくる。

毎日一緒に給食を食べていた岡田くんと石井さんと柳くんと白原さんは、修学旅行でも同じグループだった。班行動では、四人でいろいろな場所を巡る。こういう旅行だって、何かを含む物語で、またいつか、何かに含まれる物語になる。そしてそれぞれの思いを秘めて別れとなった卒業式。やがて十年ぶりに再会を果たし、酔った二人は、中学を卒業するときに書いた寄せ書きを探しに、僕の部屋に手をつないで向かうのだが……。甘酸っぱくて、切なくて、微笑ましくて、優しい気持ちになれるラブストーリー。

文句なしのハッピーエンドではなく、いい意味で裏切ったな~、という展開が面白かった。また、作中に出てくる言葉遊びも著者らしい軽妙なテンポを作っていたように思う。仲良し四人組のそれぞれにおける距離感もなるほどと思わせるものがあり、それに仕事の先輩の門前さんもいい人で、読んでいて嬉しくなるエピソードばかりだった。作品タイトルの「あのとき始まったことのすべて」が示す通り、もうあのときには戻れないけれど、素敵な思い出はこれからも増えていくのだろうな。そう思えるキラキラとした一冊だった。

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中村航
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