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    2010

08.17

「七人の敵がいる」加納朋子

七人の敵がいる七人の敵がいる
(2010/06/25)
加納 朋子

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山本陽子は、出版社の仕事に忙しいワーキングマザーだ。時は、四月上旬。場所は公立小学校一年一組の教室。集まっているのは担任教師と児童の保護者たち総勢二十数名。一人息子が入学して最初の保護者会だ。どれだけ仕事が忙しかろうが、出席してやりたいと思った。ところが、この集まりは、PTAの役員を割り当てるための会合だった。陽子は「仕事があるからできない。そもそもPTAの役員なんて専業主婦じゃなければ無理だ」と言い放ち、クラス中のお母さんを敵に回してしまったのだ。「女は女の敵である」

夫の母、山田敏江は極めて優秀な専業主婦である。加えて人柄も、控え目でおっとりとしていて優しい。ラッキーだったと、しみじみ陽子は思う。子育てをしながら会社員としてフルタイムで働く。それは決して楽なことではない。仕事とは、他社に対して責任を負うことである。もちろん母親として、子どもに対する責任もある。それは重々承知しているから、義母の存在は心底ありがたかった。敏江の全面的な協力なしには、陽子の仕事は成り立たない。ところが嫁への不満は義姉から漏れてきて。「義母義家族は敵である」

来年度のPTA役員を引き受けられない正当かつ穏当な理由を作ってしまえ。陽子が学童保育の父母会役員を引き受けることにしたのは、以上のような理由からである。そもそも仕事が忙しいから、子どもを預けて働くのだ。というわけで、皆が忙しい学童保育父母会ならば、無駄を省いたシンプルが総意だと思っていた。甘かった。議題は親子遠足について。陽子は、新会長の演説を遮って尋ねた。またやってしまった。陽子はさっそく、会長を敵に回してしまったらしかった。「男もたいがい、敵である」

山田家が所属している自治会は、五つの組から成り立っている。それぞれの組には二十軒の家庭が所属し、組長は原則として輪番制だ。山田家としてももちろん、義務は全うするつもりでいる。ただ、ことが家単位である以上、直接その任に当たるのは夫婦のどっちであってもいいはずだ。その時、陽子は猛烈に忙しかった。自治会の会合くらい、夫に行ってもらったって罰は当たるまいと陽子は思う。そう思っていたのだが、夫は自治会長に祭り上げられて帰ってきたのだ。「当然夫も敵である」

息子が五年生になり、学童保育で預かってもらえなくなるのは、働く親にとってかなり厳しい問題である。それに一人っ子のせいか、寂しがりやで甘えん坊だ。放課後や長期休暇を一人きりで留守番させるのは可哀想、祖母と二人でもやっぱり可哀想。ならばどうすれば可哀想でなくなるのか。何か習い事をさせるより他にない。すると陽介は、目を輝かせて言ったのだ。サッカー少年団に入りたいと。それは、陽子の新たな闘いの幕開けであった。「我が子だろうが敵になる」

数日前の、登校時のことだった。お兄ちゃんが、一人で歩いていた陽介にいきなり話しかけてきたのだ。ゲームソフトをあげるから、うちへおいでよ、と。その数ヵ月後、その少年は補導されることになる。幼児を公園のトイレに引きずり込もうとした容疑で。つくづく、陽介はとんでもなく危険な縁に立たされていたわけだ。そして、そこから無事に連れ戻してくれたのは、同級生の村辺真理ちゃんだ。そして今、その真理ちゃんに何か危機が訪れているらしい。「先生が敵である」

こいつは敵だ。間違いなく、私の敵なのだ。上条圭子PTA会長と、五年二組学級委員たる山田陽子との間には、秋の学年レクリエーション活動の予算申請書が横たわっている。はっきりと、陽子を責める口調である。なぜ会長はあんなふうに、突然攻撃をしかけてきたのだろう? 思いあたることがある。まさに出る杭が打たれたわけだ。上条会長が撃った弾丸は、見事陽子の急所に命中していた。だが陽子は右の頬を打たれたら、きっちり相手の右頬を殴り返す主義なのだ。「会長様は敵である」

働く母親なら陽子さんに共感することばかりかも。本書はいたる所に爆弾が仕掛けられている。一方の専業主婦にも言い分はあるかもしれない。でもその両者がタッグを組む可能性もここには込められている。家庭のことはのっけから他人事でしかない夫に対してだ。そんな立場によって危険を伴うのが、本書の特徴的なおもしろさだ。陽子さんの闘いは痛快だった。でもこういう強い人は個人的に苦手だ。そう言えば「レイン・レインボウ」登場時も苦手と書いていた。陶子さんシリーズの外伝であり、単独でも読めるPTA小説。

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加納朋子
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comments

こんばんわ^^TBさせていただきました。
始めは読むのをためらいました。
独身の人は読まないほうがいいんじゃないかと思いまして^^;
結婚するのが怖くなりそうな気がして。
そして案の定読んでいて思いましたけども^^;
でも、陽子の行動は読んでいてスカッとしました。
これくらいいう人も必要なのかなと思いました。
ただ、私もこういう人は苦手です^^;

苗坊:2010/08/17(火) 23:44 | URL | [編集]

ご無沙汰しております。
最近、更新を再開しました。よろしければ、またお付き合いいただければ幸いです♪

さて。
陽子さんは痛快でしたね。
子どものいない私には、ただひたすら恐ろしくなんとも不思議な世界…
陽子さんみたいな人がいると周りは大変だろうけど、必要な気もしました。

ちきちき:2010/08/18(水) 17:58 | URL | [編集]

苗坊さん、こんにちは。
陽子さんの主張もわかるけど、でもやっぱり言い分が偏っているんですよね。
何が正解とかないけど、大変なことだけはわかりました。
そう。スカッとするけど苦手!

しんちゃん:2010/08/22(日) 12:11 | URL | [編集]

ちきちきさん、お久しぶりです。
傍から見ている分では痛快です。
でも身近になると、しかも夫なら…怖ぇ~!
だけど、この夫もなんだかなぁ。
しかしこの二人のエピソードは泣けましたね。

しんちゃん:2010/08/22(日) 12:15 | URL | [編集]

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