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    2010

08.26

「ヘヴンリープレイス」濱野京子

ヘヴンリープレイス (ノベルズ・エクスプレス)ヘヴンリープレイス (ノベルズ・エクスプレス)
(2010/07/02)
濱野京子

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すこしは期待があった。自分をリセットできるというか、そんな期待。あたらしい町。引っ越して三日目。六年生の桐本和希は、すこしまわりの様子を見てくるとかいって、町へとくりだした。小柄な男の子がひとり雑木林で遊んでいた。体はぽちゃっとして、動きはのろそうだった。この子はどことなく俊成に似ている。そう思ったとき、胸がちくりと痛んだ。きょう初めて会った子とこんなふうに遊んでいるなんて、不思議な気分だ。でも、いいのだ。だって、この子はぼくを知らない。この町では、だれもぼくを知らない。そしてぼくは、指切りをさせられて、あしたもまたここにくることを約束したのだった。

ぼくの両親は理解のあるほうで、和希の好きなようにしなさい、といつもいう。そしてぼくはそこそこ優等生で、先生の信頼もあつくて、親はぼくを誇りに思っていた。だけど、ぼくはかげで俊成をいじめていたし、この間、初めて親の期待をうらぎってしまった。夏休みにはいって行く予定だった進学塾の合宿を、体の調子を悪くしてドタキャンし、合宿がおわった後の、夏期講習が始まったとたん、またしても同じ症状を起こして塾に行けなくなってしまった。病院にいったけれど、とくに悪いところはないといわれた。塾へ行かなくなったぼくは、だんだん元気になった。

英太に連れられてやってきたのは、雑木林のはずれにぽつりと一軒建っていた古びた木造の建物だった。すっかり荒れはて、くちかけた廃屋、そう、廃屋だった。そこで登校拒否中の有佳、児童擁護施設を抜け出してきた史生と出会い、弟みたいに感じた英太は親の虐待にあっていたことを知る。そして英太や有佳が、親しみをこめて老師と呼ぶホームレスがこの秘密基地のような廃屋に住みついていたのだ。最初、あれほどきたなくていやだと思ったのに、何度かすごすうちになれたのか、平気になってしまった。それどころか、ここにいればやさしくなれる気がするし、なにより落ち着くのだった。

ぼくの親は、自由にしなさいといいながら、必ず道を指ししめす。そうして、親がしめした道を、自分が選んだと思ってこれまでやってきた。でも、違うと気づくのだ。境遇の違う同年代の子どもたちや、親や先生とは違う価値観を持った大人と出会うことで、自分の本心に気づくのだ。やりたいことは、こんなのじゃないと。だけど、史生たちと比べて自分の境遇が良いことを知っているので、そう思うことは不公平じゃないかと思ってしまうのだ。そう思う子どもは健気だ。でも大人は、親は、一向にわかってくれない。かつて子どもだったのに。

児童書だけど、親になったかつての子どもに読んで欲しい一冊だった。一方的な偏見とか、子どもに対する無言の期待とか、自分の子は特別だとか、子どもの友達の基準とか…。言いたいことがあれば、言えばいいじゃん。何を遠慮するのかなぁ。子供がこうなって欲しいという希望はあるはず。でも、それって、子どもは望んでいるの? また、子どもに友達を選べって、そんなの無理だから。大人になっても、それは同じ。子どもは、子どもの世界で生きている。その世界は狭いけれど、必死に生きている。

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