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    2010

09.02

「バイバイ、ブラックバード」伊坂幸太郎

バイバイ、ブラックバードバイバイ、ブラックバード
(2010/06/30)
伊坂 幸太郎

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星野一彦が罪悪感を覚える理由はシンプルだった。彼女以外にも交際している女性がいたためだ。浮気とは違う。どの女性が一番大切なのかが分かっていないのだから、浮気よりも悪質だろう。二股か、といえばそれも正確ではなく、五股だった。好きでこのような状態を作り上げたわけでもなく、親しくなりたい女性と自然と交際をしていったところ、五人と付き合っていただけである。

繭美は、身体もでかければ、腕も脚も太く、何から何まで規格外で、おまけに態度も大きく肝も据わっている。僕には、彼女が別の生き物にしか見えなかった。出会ってから毎日行動を共にしているものの、一緒にいる時間が長くなればなるほど、理解ができなくなった。心から嬉しそうな笑い声が、繭美の口から聞こえてくる。彼女の思いは想像できた。ああ楽しい、とでも思っているのだろう。

借金の沼に沈み、〈あのバス〉で連れて行かれる前に、付き合っている女性たちに会わせてほしい、と頼んだ時、繭美は、「お別れの挨拶なんか意味ねえよ」と断言した。それでもいいから別れを言わせてくれ、と僕は頼んだ。バスに乗るまでの二週間、僕が逃げないように、と監視しているのが繭美の役割だ。わたしと結婚すると言えば、みんな納得するだろうよ、と繭美は言った。星野一彦は、繭美を婚約者として紹介し、五人の女性に別れを告げる。

一人目、ある男性との不倫関係に嫌気が差していた廣瀬あかりの場合。二人目、夫と離婚して以降、子育てと仕事に専念してきた霜月りさ子。三人目、奇妙な発想と突飛な思考回路で行動する如月ユミ。四人目、生真面目に税理事務所で仕事をこなし、数字でものを考えるのが好きな神田那美子の場合。五人目、女優になるべくして生まれてきた本格派女優の有須睦子の場合。そして、〈あのバス〉に乗る日。

この作品の魅力は、なんと言っても繭美という強烈なキャラクターの存在にあると思う。常に不愉快そうで、絶えず不満を抱えている様子で、いつも何かに怒っているように見えるのが繭美という人間なのだ。そして人を追いつめて、どうにもならないと困り果てているのを、上から見下すのが趣味なのだ。読み始めは単に嫌な女だが、読み進めて行くうちに味が出てくるから不思議だ。そう、「砂漠」に登場した西嶋のような異質なキャラだ。

また、繭美を除いて五人の女性が登場するので、男性諸氏にとっては人気投票的な楽しみもあると思った。個人的な好みを言えば、一位はキャッツアイ志望の不思議ちゃん、二位は物わかりのいいお母さん、三位は美人すぎるあの人。そして四位は恐竜に近い生き物だったりして。五股の星野一彦にしても、母性本能をくすぐる存在で。。最近、読者の期待をことごとく裏切っていた伊坂作品だが、本書はちょっと前に戻ったのか。ミステリではないが、世間に毒吐くこれぞ伊坂、という読書が堪能できた一冊だった。

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伊坂幸太郎
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comments

こんにちは。TBさせていただきました。
この作品は本当に良かったです!
伊坂さんらしさが出ていたと思います。
繭美はとても強烈なキャラクターでしたけど、嫌いじゃなかったです。最後は「おお!」と思ってしまいました。
5人の女性の中で1番は女優さんですかね。
あの出来事に感動して、周りに人がいるのに叫びそうになりました。

苗坊:2010/09/05(日) 17:04 | URL | [編集]

苗坊さん、こんばんは。
ですよね。らしい作品でした。
女優さんは存在自体がほんとドラマでした。
でもおいらが選んだのはキャッツアイ。
なんですかねえ。ありえない設定。だけど可愛かった。
そして最後のあれはくるよねー!

しんちゃん:2010/09/06(月) 22:25 | URL | [編集]

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-:2010/10/08(金) 21:20 | | [編集]

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-:2010/11/23(火) 22:18 | | [編集]

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