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    2010

09.16

「ひそやかな花園」角田光代

ひそやかな花園ひそやかな花園
(2010/07/24)
角田 光代

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毎年夏になると、ある別荘地でキャンプに集まっていた七組の親子。背の高い木々に囲まれた一本道。刈り揃えられた芝生敷きの庭、部屋のいくつもあるウッドハウス、年齢の近い子どもたち。樹里、紗有美、波留、弾、雄一郎、賢人、紀子。輝く夏の思い出は誰にとっても大切な記憶だった。しかし、いつしかキャンプは取り止められ、その存在自体も親から否定されるようになってしまった。彼らは疑問を抱くようになる。あの子たちはだれだったのか。あれはどこだったのか。私はなぜ、そこに参加していたのか。あの集まりはいったい何だったのか?

前半部分はミステリ要素が強い物語だ。そして別々の人生を歩んで大人になった彼らは、何年ぶりかに再会を果たし、出生に纏わる衝撃の事実を突如突きつけられる。戸惑う者、我を忘れ呆然とする者、すんなり受け入れる者など、彼らはそれぞれの性格やこれまでの家庭環境に応じた様々な受け入れ方をする。そして始まるひとりひとりの群像劇。彼ら自身の問題や、現在の生活、知らされていなかった過去と向き合うことになる。「ひそやかな花園」とは、彼らにとってパンドラの箱だったのか!? それとも…。

登場人物それぞれの心理描写が巧みで、彼らの想いに共感も反発できる。特に紗有美に対しては思うことがたくさんあった。読者をイライラさせることにかけては天才的だ。何をしていいのかわからず、それなのに、何かしたいと焦っている。ならば自分で動くしかないのに、だれかが何かをしてくれると信じて疑っていない。ほしいものが手にはいらないと、人のせいにして、地団駄踏んで怒って泣いてくやしがる。それなのにまだ、自分の足では動き出さない。

自分が不幸なのは自分のせいじゃない。誰かのせい。上手くいかない理由を他人に見つけて、そうやっていつも自分の逃げ道を作っていると楽だ。でもそれではいつまで経っても何もかわらない。こういう負のスパイラルってありがちだ。自分にも思い当たるふしがある。だれだってちっぽけだと思う自分を見せられると居心地が悪い。見たくない。目をつぶっていたい。それを大々的に具現化したような存在の彼女だからこそ、必要以上に腹が立つし嫌悪感が沸いてくるのかなと思った。

そんなどうしようもない彼女にも関わらず、最後には明るい未来へと踏み出すことになる。驚きなのは、彼女に救いの手を差しだしたのが一番ドライで人に興味がないと思っていた人物だったからだ。仲間、家族のありよう、生きるということ。テーマとしてはかなり重い。だが「ひそやかな花園」で出会った彼女らは、無敵な気分で明日に向かって歩み続けるのだろう。なぜなら自分の足で動き出す意味を、意義を知ったのだから。

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角田光代
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ひそやかな花園(角田光代)


面白かった。読み出したら止まらなくなって、夢中で読んだ。

2010/12/04(土) 12:50 | Bookworm

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