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    2010

10.29

「月と蟹」道尾秀介

月と蟹月と蟹
(2010/09)
道尾 秀介

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鎌倉市にほど近い海辺の町で慎一が暮らしはじめたのは二年前、小学三年生の夏だった。父が働いていた商事会社が倒産し、祖父の暮らすこの町に越してきたのだ。その父も一年前に亡くなり、つましい借家に母親と祖父と三人で暮らしている。以来クラスメイトたちとも上手くやれていない。十年前、祖父の昭三が操縦する漁船に同乗し、冬の海に投げ出されて死んだのは鳴海の母親だった。事故のことはクラス中の生徒が知っている。事故で実際に母親を亡くした鳴海だけが仲良くしてくれて、ほかのクラスメイトたちが打ち解けてくれないところに、慎一はしばしば苛立ちをおぼえた。

鳴海を抜かせば、このクラスで慎一と仲良くしてくれるのは春也だけだ。転校してきた者同士ということもあるし、転校生である春也はあの事故のことを気にしていない。新しい何かが欲しかった。慎一も、春也も。「ヤドカミ様に、お願いしてみようか」風が吹きすさぶ山の上の秘密の場所で、やり場のない心を抱えた子供たちが始めた、ヤドカリを神様に見立てるささやかな儀式。お金が欲しい。いじめっ子が不幸になるように。他愛ない儀式はいつしかより切実な願いへと変わり、子供たちの捻れた「祈り」が周囲の大人に、そして彼ら自身に暗い刃を向ける……。

子供ゆえの遊びやもやもやの捌け口による生物への大量虐殺はあるが、メインとなるのは子供たちの心理描描写。主人公の慎一は、母親が鳴海の父親と交際していることを疑い、不安を募らせイライラしている。親友の春也は、酒乱の父親から虐待を受けているみたいだ。そして彼らの仲間に加わる紅一点の鳴海は、事故で母親を亡くした原因は慎一の祖父だと未だに恨みを持っている。彼らは、胸の中にやっかいなものを蓄積しつつ耐えている。しかしそれもいつかはいっぱいになる。そうなった時の反動がとても怖い。誰もが想像しうる事態に突き進むのだ。

心の闇とか、閉塞感とか、ミステリ作家でここまで書ける作家は稀有の存在だと思う。でもファンとしては、ミステリが読みたい。「向日葵の咲かない夏」「龍神の雨」「球体の蛇」などの作品と雰囲気は似ているものの、やはり期待するのは見事な伏線と大ドンデンガエシであって、少年たちの哀しく切なくやりきれなさからくる捻れた心理描写が巧みでも、なんとなく物足りない。これぞトリックスターと唸らせる作品に戻って頂きたい。そういう点で言えば、ここ数冊は個人的にしっくりこない。以前のように、読む前から「何かあるぞ!」とドキドキさせて欲しい。わくわくしたい。

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道尾秀介
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「月と蟹」感想 道尾秀介


凄く引き込まれました。

2010/11/11(木) 14:04 | ポコアポコヤ

月と蟹(道尾秀介)


面白かった!すごぉーーく面白くって読み始めたら途中で止められ無くって一気読みでした。夢中で読んだ。

2010/11/13(土) 12:45 | Bookworm

月と蟹 道尾秀介著。


≪★★≫ 「ヤドカミ様に、お願いしてみようか」「叶えてくれると思うで。何でも。」やり場のない心を抱えた子供たちが始めた、ヤドカリを神様に見立てるささやかな儀式。やがてねじれた祈りは、大人たちに、少年たち自身に、不穏なハサミを振り上げるーやさしくも哀しい…

2011/04/03(日) 17:05 | じゃじゃままブックレビュー

子どものこころ


小説「月と蟹」を読みました。 著者は 道尾 秀介 今作で直木賞を受賞しました やはり 最近の道尾さんの作風で ミステリというよりは文学としてドラマが強い そして、怖さもある 最近で言うと、 光媒は好きでしたが球体はダメだった僕ですが・・・ 今作は長編という...

2011/10/16(日) 20:16 | 笑う学生の生活

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