2007
![]() | さくら 西 加奈子 (2005/02) 小学館 この商品の詳細を見る |
僕こと薫、もてもてでヒーローだったお兄ちゃん、きれいで暴力的な妹、両親。そして犬のさくらを加えた長谷川家。お兄ちゃんの恋、僕の初恋、妹の変わった友達。それらの中心に何時もいたさくら。ずっと続くと思われた幸せな日々が、兄の死で壊れる。彼ら家族に妹のミキが生まれた所から、長谷川家が再生するまでを描いた家族小説です。
ミキの誕生や、男兄弟ならではの共有した秘密。さくらが家族に増えて暖かく笑いが絶えない家族。そんなとても良い雰囲気で幸せいっぱいの家族が、前半部分で描かれている。少し兄弟や兄妹間がべたつき過ぎのように感じたが、あれぐらいの仲の良さには憧れる。自分には妹しか居ないので、兄と男同士で遊んだりあんな会話をしてみたいと思ったのだ。そんな家族が兄の死によって、ずどーんと一気に哀しみと絶望に落ちる。冒頭でお兄ちゃんが死んだことが分かっているが、その落差の分だけ胸にくるのだ。
美しかった母は過食で激太り、朗らかだった父はどんどん痩せていき、ついには家を出る。妹のミキは、報われない恋にがんじ絡め。 そんな時にさくらの身体に異変が起こり…。あれは奇跡なのか。いや、たぶん奇跡だろう。笑いの奇跡に万歳なのだ。
はっきり言ってしまえば直球ど真ん中。 ガツンとノックアウトされたような大好き本。絶妙な関西弁でくすりと笑いを誘い、動物好きなところをコチョコチョと擽られる。さくらさんのしゃべりに、うーん溜まらんと身を捩る。犬好きの方は必読の本なのだ。
動物と同居をすると、なぜか家族の中心に動物がくるのも事実。さくらの体調が悪くなった時のあたふたぶりが、すごく身に染みたのだ。これでさくらまで殺したら、確実に西加奈子さんを嫌いになっただろう。嫌いにならずに済んで良かったと、ホっとしている。
西さんがあとがきで言っていた、モデルになったサニーちゃんの尻尾のお話が良い。サニーはいつもぱたぱたと尻尾を振り、皆に元気を与えてくれる。 「私も尻尾を振ろうと思う。 私は全力で、尻尾を振ろうと思う。」 あとがきで、うるっときたのだ。はははっ、笑ってくれたまえ。 これだけで西加奈子のファンでは無く、大ファンになったのだ。動物好きに悪人無し。勝手な思い込みだがこれでいいのだ。ぬわはははっ。
今回は西加奈子さんを初読みだったが、これからガンガン読んで行く予定。すでに「きいろいゾウ」「通天閣」が手元にある。そう、1冊も本を読まずに3冊も積んでいたのだ。そろそろデビュー作の「あおい」が文庫化しそうだ。 これも楽しみに待つことにしよう。
ポチッとお願いします。その一つが励みになります。




comments