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    2007

05.27

「凍りのくじら」辻村深月

凍りのくじら (講談社ノベルス)凍りのくじら (講談社ノベルス)
(2005/11)
辻村 深月

商品詳細を見る

有名カメラマンだった父が五年前に失踪し、余命わずかの母を支える高校生の理帆子。理帆子は周りにいる人たちを、「スコシ・ナントカ」とその人の性質を分析している。理帆子はいつも当事者になれず、どこにも自分の居場所がないと思っている。それは自分より頭の悪い人を軽んじ、けっして本心で語り合うことが出来ないからだ。そんな自分の性質を、理帆子は「少し・不在」だと思っている。

ある日の放課後、図書室にいた理帆子の前に別所あきらという上級生が現れる。彼との出会いで初めて本音を話すことを経験し、孤独だった心が良い方に変わっていく。しかし昔の恋人の若尾の常軌を逸した行動で、事態は思わぬ方向へと変化していくのだ。


読み進めて行くと、これまでの作品にあった辻村さんぽい設定が見当たらない。おかしいなー、と思いながら読んでいたら、ある可能性に気づいてしまった。そしたらラストのくだりで見事に的中していたのだ。や、やってしまった!これは喜んで良いものなんだろうか?それとも驚きが味わえ無いと悔やむべきなのか?だからヤラレタ感は無かった。だけどこれまで読んだ作品の中で一番好きな本です。

これまで読んだ本は、グロイ描写の部分が好きになれず、恐々とページを捲ったものだ。それがこの本には無く(1箇所だけ)、理帆子や若尾の心理描写で物語が進む。この心理描写が半端じゃなく、ヒリヒリとした感情の動きに惹き付けられたのだ。

冷めた目で人の性質を見て、そこに仲間に入った振りをしながら毎日を暮らす理帆子。別れたあとも若尾と連絡を取り、自分を取り返しのつかない立場に追い込まれる痛さ。行方の知れない父とのドラえもんを通じた繋がり。死のせまった母との面会場面。これらがすごくリアルで、本の世界にぐいぐいと引っ張られて、時間を忘れさせられた。

心に病を持った若尾の壊れていく痛々しい姿は、辻村さんの得意な分野だろう。これまでも壊れた人物の描写には辻村さんは抜き出ていたが、今回の若尾は凄かった。普通の方なら痛すぎてキモイと感じるだろう。だが黒いのが好きな自分には快感だった。うーん、少し微妙な言いようをしているかな。 けっして危ない人では無いですよ。

理帆子は様々な人との関わりを経ることで、自らの寂しさを自覚し少しずつ救われていく。それは別所あきらや母、郁也や多恵だけでなく、若尾との苦しい関わりも含まれている。そんな彼女にラストでは奇跡という救いが待っている。これ書いてもいいよね?
プロローグで大人になった理帆子が描かれるし。初めに書いた通り今回はやられませんでした。しかし写真集の「帆」のところは泣けた。あそこは読み始めてすぐに、やばいなーという予感があった。案の定の結果ですな。

初めは気づかなかったですが、「ぼくのメジャースプーン」のふみちゃんが出てましたね。作品自体に大きな仕掛けを施す辻村さんですが、作品のリンクという仕掛けも楽しめる。辻村深月という作家の構想の大きさは計り知れない大きさだ。恐るべし、辻村深月よ。若くて美人で、女狐の才もあるということなのか。

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辻村深月
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comments

その仕掛けに気づかなかったリベで~す(笑)。
この小説が辻村小説にはまるきっかけになりました。
辻村さんはなんてイタい人を作るのがうまいのだろうといつも思います。そしていつも書くようにラストはそれ以上に。

リベ:2007/05/27(日) 21:08 | URL | [編集]

普通は気づかないですよねー。
読者としては、すれているのか気づいちゃいました。
それでも構成やラストはさすがと言える出来に満足。
辻村さんはやっぱいいよねー!

しんちゃん:2007/05/28(月) 09:21 | URL | [編集]

こんにちは。
しんちゃんも読んだんですね~。
私もリベさんと同じでこの作品で辻村深月を知りました。
私も仕掛けには何となく気付いてました。
だってどう考えても辻褄が合わない描写あったし(笑)。
この分量での、この繊細さにやられました。

chiro:2007/05/28(月) 10:35 | URL | [編集]

ちーす。
「メジャースプーン」以外、順番通りに読んでます。
「冷たい校舎」と同じ仕掛けでしたね。だから二度は騙されない(笑)。
でも心理描写が巧で面白かったですよねー。

しんちゃん:2007/05/28(月) 13:13 | URL | [編集]

こちらも読んでいて薄々感づいている分、余計に来るぞ来るぞとなってしまいますね。あそこは回避不可能です。

たまねぎ:2007/05/30(水) 00:19 | URL | [編集]

わかっていても泣いちゃいますよね。
辻村さんってこんなのがすごく上手いんだよなー。

しんちゃん:2007/05/30(水) 08:24 | URL | [編集]

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凍りのくじら、辻村深月


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2007/05/28(月) 01:04 | 粋な提案

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