「ぐるぐるまわるすべり台」中村航
2007年06月06日 (水) | 編集 |
ぐるぐるまわるすべり台 (文春文庫)ぐるぐるまわるすべり台 (文春文庫)
(2006/05)
中村 航

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「ぐるぐるまわるすべり台」
大学を辞めて塾講師のアルバイトをする小林が、バンドメンバーを募集する。
その際は、生徒のヨシモクの名を騙り、熱くてクール、馬鹿でクレバー。の文句。
それを見た尾崎というちくわ好きのベースが決まり、バンド名を狛犬(仮)にする。
その後、本物のヨシモクが携帯サイトで見つけた、てつろーとチバに連絡。
ギターとドラムも決まり、課題曲は「ヘルター・スケルター」に決定。
最後にボーカルの中浜が決まり、初めてメンバーが顔を合わせるというお話です。

「月に吠える」
バンドに参加する以前の、哲郎と千葉の出会いと、哲郎の目標を探す物語です。
生産工場のラインで働く哲郎は、同じライン仲間と「ゴン太くん」サークルを作る。
そこでリーダーとして、工程の見直しとコスト削減を実施していくというお話です。


バンド物にある、熱さや爽快感が味わえる本ではありませんでした。
両方共通するのは、どちらも始まりを描いたお話ということです。
新しくバンドが出来上がっていくという、ちょっとしたドキドキやワクワク。
仕事を通して、ギター奏者としての心の持ち方や、やるべきことの指針探し。
これらがたんたんと描かれた作品です。

極端に飾りのない文章で、極力テンポを排除したリズム。すごく静かです。
起承転結というものが全くないのだが、嫌いではない。むしろ心地よいのだ。
すーっと頭に文字が入ってくるような感じで、ぐいぐい読ませてしまう。

方程式の答えへの過程を読んでいるような雰囲気、という感覚が近いだろう。
だから定められたゴールへ辿りつくのを、トントンと駆け上がっていく。
そしてあるポイントについたところで、物語は終結をする。
そこに至るまでは、中村さん特有の捻れた心もあり、中々侮れないのだが。

独特な空気感が漂う世界で、けっして熱くなることは無いが、好きな本でした。
バンド物の熱さを求めて読むものではありませんがね。


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