2007年06月23日 (土) | 編集 |
![]() | 森へようこそ (ピュアフル文庫) (2006/11) 風野 潮 商品詳細を見る |
中国へ長期出張する母と別れて、日本に残ることになった美森という少女。彼女が住むことになるのは、大阪郊外にある自然の森に囲まれた古い洋館だ。白ペンキで書かれた表札には、「木のお医者さん、芦原植物病院」の文字。そこには両親の離婚後、これまで一度も会ったことがない父が住んでいる。そしてもう一人。植物の声が聞こえるという、双子の弟・瑞穂がいた。
母の仕事が忙しかった美森は、これまで家庭の温かさを知らずに暮してきた都会っ子。新しく住むここには植物が溢れ、時間が止まったような静けさに美森は最初戸惑う。しかし植物と話をしながら大事に育てている瑞穂を見るうちに、次第に打ち解けていく。
美森が通うことになる小学校で、瑞穂はイジメにあいずっと不登校を続けている。瑞穂と対称に美森は友達たちもすぐに出来て、楽しく学校生活を過ごす。
そんな生活の中、クラスメイトの家の社員の不始末で、大きな山火事が起こる。その結果、クラスメイトがイジメの対象になる瞬間を見て、美森は知ることになる。弟が受けたイジメも、不特定多数のみんなによるものだったのだと。この場面で描かれた、子供が持つ悪意のある集団心理に、怖くてゾクっときました。
ここでは葉山という少年がイジメの対象になり、「みんな対1人」の構図が出来る。美森は集団に入らず「みんな対2人」になることを選び、クラスメイトから疎外される。この選択をした美森の強さを、少しでも多くの子供たちに持って欲しいと願う。いや、子供だけでなく大人も含めた人たち、と言いなおすべきか。
台風が美森たちの住む森を直撃することで、物語は大きな展開をしていきます。クラスの再生あり、家族の再生ありで、読みどころが満載です。
イジメ問題が底辺にありながらも、読後はすかっとさわやか。爽快です。森の木々が、疲れた都会の生活を癒してくれる清々しい良書でした。この作品に出会って森へ行けば、「モリ、ヘ、ヨウコソ」と声が聞こえるかも。
風野潮さんのブログです。潮のつれづれ語り
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