2007年07月11日 (水) | 編集 |
![]() | マジカル・ドロップス (2007/06) 風野 潮 商品詳細を見る |
仲良しだった真由美が、そっとタイムカプセルに入れた40粒入りの缶入りドロップ。タイムカプセル内にあった思いでとドロップは、42歳になった菜穂子の元へ届いた。それは真由美が15歳という若さで亡くなり、彼女の身内の行方が分からないからだ。菜穂子は親友の美智と当時を懐かしみながら、真由美のドロップを食べてみることに。当時真由美が笑いながら命名した通り、ドロップは15歳に戻れる魔法の薬になっていた。
主人公の菜穂子は平凡な主婦で、旦那は仕事漬けで日曜日にも休日出勤をしている。長男の要は高2で、仲間の谷崎・吉田と一緒にバンド活動に夢中になっている。長女の茜は中3で、声をかけても返事をしないし、部屋でなにかをしているオタク。親友の美智は、アンティーク店を経営するやり手で、菜穂子の良き相談相手。
菜穂子と美智が15歳の姿になり、なんちゃって制服を着て、カラオケ大会に参加する。そこで二人は、かつて夢中になったピンクレディのUFOを振りつきで大熱唱をする。それを見た息子の要に、なんとバンドのボーカルへとスカウトされてしまうのだ。そして菜穂子は、15歳のナオとして息子のバンドに参加し、バンドコンテストを目指す。しかし15歳の姿でいられるドロップの効果は、2時間17分だけという制限付き。母であることを隠しながらもロックを楽しむ菜穂子だが、ドロップの数は減っていく。
簡単に言えばこんなお話です。平凡な主婦である菜穂子の、ほのぼのとした生活も良い。親と行動を共にするのを嫌う年代ですが、菜穂子は同世代になり息子と一緒に過ごす。そしてバンドに熱くなるナオが、とてもイキイキとして読んでいてすごく楽しいのだ。楽器を演奏する少年たちも、個性があって素敵です。無口な吉田くんがお気に入りでした。
息子の友達に好意を持たれて、嬉しいながらもあたふたするナオの姿も可愛らしかった。でも冷静に考えると、ほんとは42歳っすよね。うーん、微妙だが可愛いにしとくか。その後、初恋の相手だった真由美の兄に、ナオの姿で再会して心が揺れたりもする。42歳のお母さんには、ちょっと贅沢すぎるよなー。風野さんの願望が入っているのかな。なんて邪推してみたりもする。なんだか当っていそうな気がするよ。ふふっ。
「ビートキッズ」でもそうだったけど、風野さんの作品にはロックが溢れています。本書にも「QUEEN」「THE CLASH」「U2」など、ロックが出てきます。そしてライブシーンでは、熱さがバンバン伝わってくる。めちゃめちゃ熱いです。バンド物って大好きです。自分が元バンドマンだったから、余計に楽しめるんだよ。
ここに出てくる菜穂子さんは、きっかけはドロップだが、青春を2度体験します。年齢が40台になっても、もう一度青春をすることが出来るかは、本人の気持ち次第。自分さえやる気を出せば、年齢がいくつになっても熱くなれる。まずは一歩。そんなことを考えながらも、ロックに共鳴し、わくわくと読むことが出来ました。熱く興奮し、ちょっぴり甘くてキュンとくる。メルヘンでとても可愛い作品でした。
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ドロップ缶に書かれた『十五歳に戻れる魔法の薬。効き目は二時間十七分』あなたが15歳に戻ったら、何がしたいですか?
2007/07/18(Wed) 20:37:25 | 待ち合わせは本屋さんで
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