「タンノイのエジンバラ」長嶋有
2007年07月14日 (土) | 編集 |
タンノイのエジンバラタンノイのエジンバラ
(2006/01)
長嶋 有

商品詳細を見る

「タンノイのエジンバラ」
男はたぶん知っているだろう隣に住む女性に、子供を1日預かるよう押し付けられる。
男と風変わりな女の子の交流を描いた作品です。

女の子に気を使いながらも、ぶっきらぼうに相手をする男がすごくリアルでした。
男は無職でいいかげんな生活を送っていますが、女の子に対してはちゃんとしろと言う。
きつく言い過ぎたと反省したり、少し親切にしたりという、不安定な距離感が絶妙でした。


「夜のあぐら」
家族をばらばらにした父が死の目前にいる。姉、妹、弟、の三姉弟が長姉に引きずられる。
父と住む愛人にだけは、家を引き取られたくないと、長姉は意地になっているのだ。
そして終いには、家に侵入し、権利書を金庫から盗もうとたくらむ。

ちょっと姉の心理状態は異常だと思ったが、読み終えると、そうだったのかと納得した。
中の妹はなんだか抜け殻みたいだが、けっこう好きでした。道楽弟は羨ましいかった。
そして死にかけの父よ。おいおい、まだ他に愛人が居たのかよ。という感じ。


「バルセロナの印象」
失意の姉を元気づけるため、男は妻と一緒に姉を誘い、バルセロナを観光することに。
女性陣のガウディだという元気を他所に、男はずっと疲れたまんま。

これに関しては心が揺れませんでした。だってただの観光にしか思えないもん。
たぶん自分の感性が鈍いのだろう。


「三十歳」
ピアノ講師の仕事を辞め、パチンコ店で景品係としてアルバイトをする、30歳の女性。
そこで出会った同僚男性に、なれなれしく話しかけられるうちに、関係を持ってしまう。

これが一番好きでした。出てくる人たちのダメさに、ぐぐっと共感してしまったのだ。
自分はダメ人間のお話に弱いです。すぐに好きモードに入ってしまってテンションアップ。
それにマニアックなこだわりなんてあったら、即撃沈をしてしまう。まさにこの作品です。
小さな部屋をグランドピアノが占領している風景なんて、想像するだけで堪らない。
しかもピアノの下に敷いた布団は、ピアノの足でよれている。なんてセンスがすごいのだ。
こういうセンス良い表現に出会うと、盲目にその作家を追いたくなってしまう。
とにかく、めちゃめちゃ好きな作品でした。

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
タンノイのエジンバラ長嶋 有 262 ★★★☆☆ 【タンノイのエジンバラ】 長嶋 有 著  文藝春秋 《長嶋有という作家は、読むと何か温かい気がする》 内容(「BOOK」データベースより)隣家の女の子を押しつけられたり、実家の金庫を盗みに行くはめになったり。人
2007/07/14(Sat) 20:59:28 |  モンガの独り言 読書日記通信