2007年08月01日 (水) | 編集 |
![]() | 楽隊のうさぎ (新潮文庫) (2002/12) 中沢 けい 商品詳細を見る |
主人公・奥田克久が入学した中学校は、必ず何処かの部活に入らなければならなかった。ここに正式な帰宅部があればいいなどと、不埒なことを思う克久が入部したのは吹奏楽部。先輩や友人、顧問のベンちゃんと共に、全国大会が開かれる普門館を目指すことに。
克久は小学校時代に、クサイと言われたり、ムシをされる、など、いじめを受けていた。そんな彼が見つけた対処法は、左官屋が出て来て、彼の心を灰色に塗り固めるということ。つまりは心を閉ざして何も聞こえないようにして、自分の心を守るということだった。
そんな彼が近くの公園で見かけた茶色いうさぎが、左官屋の代わりに心に住み着いた。彼が人間関係に対面する場面で、第三者の声としてうさぎが言葉を提案し彼へ語りかける。彼が勇気を出すための、大事な心の応援団のような存在なのでしょう。
お話が吹奏楽なので登場人物がすごく多い。なので読み始めはちょっとパニクリました。主人公のパートは初めはパーカスで、先輩が卒業した後にはティンパニを担当します。パーカスでコンビを組むのがしょうちゃん(祥子)。パーカスのお師匠がクールな藤尾さん。トランペットが谷崎弓子と山村正男。そして先輩の宗田。クラリネットが部長の有木。チューバが川島。オーボエがうるさい鈴木女史。とまあ、大人数であとは覚えれない。
彼らが一から音を作って行き、自分たちだけの音楽を完成させていく。でも三年生は卒業。そして新一年生が加入し、また一から自分たちの音楽を作っていく。これの繰り返しです。同じ学校でも1年ごとに違う音楽を奏でる。そして卒業生は自分たちの音楽が一番だと思いたい。後輩たちは先輩には言えないが、もっと上をと目指していく。そこらへんが読み応えがあって、すごく面白かったです。吹奏楽の経験者ならもっと楽しめるだろう。
自分はバンドマンだったので、吹奏楽で演奏する楽曲というのをまったく知りません。だから大会での演奏シーンも、バンドものみたいには盛り上がれませんでした。ですがこの作品では、演奏中に楽曲の物語が滔滔と語られていました。これはちょっと新鮮な感じで、上手いなあと感心。それに大会で演奏するまでの緊張感や高揚感は、ビシビシと伝わってきました。まさに手に汗握るという感覚。これはバンドと共通するものがあって、かつての自分を思い出して懐かしくなりました。
そんな彼らを纏めあげた顧問のベンちゃん(森勉先生)。彼らの演奏を聞いて、すごく誇らしかったでしょうね。個性的なベンちゃんがすごく素敵でした。音楽へ取る組む姿がとても爽やかで、音楽の素晴らしさがギュっと詰まった一冊でした。ブラバン経験者もそうで無い方にもお薦めの作品です。とても濃厚な時間を過ごすことが出来ました。音楽っていいな!
余談。
続編というか姉妹編の「楽隊のトランペット」もすでに積んでいます。こちらも楽しみ♪
TBさせてもらいました。「まったり読書日記」
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