2007年08月17日 (金) | 編集 |
![]() | 疫病神 (新潮文庫) (2000/01) 黒川 博行 商品詳細を見る |
建設コンサルタントの二宮は、建設業者に起こるいやがらせや工事の妨害に備え、毒は毒をもって制すに習い、ヤクザをつかってヤクザを抑えるサバキの仲介を二蝶会の桑原に依頼している。
そんな二宮の元へ、富田林の小畠という産廃業者が、建設廃材の最終処分場を作る計画があるが、処分場を申請する段階になって、水利組合から保証金の上乗せを要求され困っている。同意書に組合長の印鑑をもらってきて欲しいと持ちかけられた。
橋本という水利組合長を調べはじめると、本蔵環境開発の水谷という男と会っていた。水谷は白曜会というヤクザの幹部で、本蔵環境開発はヤクザの看板を隠したフロント企業だった。その橋本と水谷を、薫政会の陵南組というヤクザ二人組もまた、尾行をしていた。
二宮は、それらを二蝶会の桑原に話さざるをえなくなり、聞いた桑原は儲けのうまみを敏感に感じ、二人はコンビを組んで、幾重にも利権がからんだ抗争の只中の大阪を、駆け巡ることになる。
軽妙な関西弁がぽんぽんと踊る、笑いの溢れたハードボイルドです。この二人組がすごく好きで、今回が3回目の再々読になりました。何度読んでも楽しめる。いわゆる自分にとってのお宝本です。タイトルの意味は、二宮と桑原がお互いにそう思っているということ。
本書の舞台は大阪です。大阪生まれ大阪育ちの自分にとって、庭のような作品です。知っているところばかりを、二人は駆け回る。桑原が女にカラオケ屋をやらせているのが守口の大日。めっちゃ近所やないかいと、それだけで興奮をしてしまう。それに道路の渋滞状況なんかもすごくリアルで、そうそう、あそこはいつも混んでると、共感しまくり。
二宮の自分の仕事に対する義理堅さと借金返済計画、桑原の極道的な独自の考えと行動力、これらが絶妙にマッチして読者を楽しませてくれる。時には尾行をしたり、暴力や脅迫もあり、捕まって監禁されたりと、ハラハラとしっぱなしでスリルも満載。
出てくる悪党たちがとことん汚い奴らで、そんな中を、ボケたしゃべりを交わしながらも、二人はたくみに泳いでいく。これらは黒川作品の特徴でもあります。黒マメコンビが活躍する刑事モノや、他のシリーズもすべて主人公たちはコンビを組んでいます。それが本書では、カタギとヤクザのコンビです。面白くないわけがありません。悶絶とまではいきませんが、ニヤリ笑いがおさまらない。
熱いハードボイルドも良いですが、笑えるハードボイルドもある、というのを教えてくれたのが本書です。この作品に関しては文句なしの大絶賛です。ぜひぜひ、手に取ることをお薦めします。読んで絶対損はなし。読まなくちゃあ勿体無い!
近いうちに続編の「国境」も再々読をする予定。こちらは北朝鮮に潜入をしてしまう。今の政治情勢にマッチをしていて、読むのがすっごく楽しみです。
この記事へのコメント
笑えるハードボイルド、面白そうだね〜。この本もチェックしておこう!!
2007/08/18(Sat) 20:07 | URL | まる #-[ 編集]
まるさん、ちゃーす。
この本、すんごく好きです。
二人の会話が漫才みたいで笑いっぱなし。
お薦めっすよ!
この本、すんごく好きです。
二人の会話が漫才みたいで笑いっぱなし。
お薦めっすよ!
2007/08/19(Sun) 09:23 | URL | しんちゃん #-[ 編集]
「笑えるハードボイルド」読みました。
二宮と桑原の会話が絶妙ですね。
迷惑そうな二宮と、ニヤリと笑う桑原の姿が目に浮かぶようです。
親しみ深い土地の名前が出ているのも、地元民としては◎ですね♪
二宮と桑原の会話が絶妙ですね。
迷惑そうな二宮と、ニヤリと笑う桑原の姿が目に浮かぶようです。
親しみ深い土地の名前が出ているのも、地元民としては◎ですね♪
ia.さん、地元贔屓を抜いても面白いよね。
二人の無茶苦茶な会話に笑いっぱなしでした。
もっと読まれて欲しいシリーズやなと思ってます。
二人の無茶苦茶な会話に笑いっぱなしでした。
もっと読まれて欲しいシリーズやなと思ってます。
2007/10/05(Fri) 09:12 | URL | しんちゃん #-[ 編集]
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2007/10/05(Fri) 00:25:31 | どくしょ。るーむ。
2001年の各誌の総括書評の中で、評者は黒川博行の「国境」に興味を覚えた。おかしな大阪弁のコンビが北朝鮮へ行く話なのだが、朝鮮半島と中国の国境付近を題材にした秀作とのこと。北朝鮮の現状を舞台に織り込み、昨今話題の亡命問題以前に半島と大陸の国境問題を題材に取
2007/10/22(Mon) 22:10:16 | 「本のことども」by聖月
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