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    2007

08.19

「デッドエンドの思い出」よしもとばなな

デッドエンドの思い出デッドエンドの思い出
(2003/07/26)
よしもと ばなな

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苦手意識のある作家さんだけど、これも読めてしまった。何故だろうと考えたら、どうやら「よしもとばなな」のひらがな名義にありそう。以前の「吉本ばなな」とは何かが違う。死が身近にあるのは同じだが、文章にひっかかりがあったのが、自然と心に響くようになったのだ。まだ3冊しか読んでいないが、「よしもとばなな」なら今後も読めそうです。つうか面白い。

「幽霊の家」
私と岩倉くんは一緒に鍋を食べることになった。恋とかそんなのではなく、バイトでお世話になったお礼をしようという気持ちの表れからだ。彼の住むアパートは、取り壊されることが決まったボロアパートで、元大家さんが住んでいた部屋で彼は生活をしていた。彼が言うには、ここには幽霊が出る。もう死んでるんだけど、気づいていない大家さん夫婦が幸せそうに暮している、と彼はのん気に語る。

すごく良いお話です。幽霊がメインではなく、幸せそうな幽霊を見た男女の、出会い、別れ、再会、を描いた作品です。自分にとって大事なものを親から継いでいく二人がすごく良い。反発しながらもいずれは親の偉大さに気づく。親の背中を見て子は育つ、という当たり前のことです。それと二人の関係が交じり合って、居心地の良い雰囲気を感じられました。

「おかあさーん!」
私はすごくおなかが減っていた。社員食堂でカレーにしようと決めた瞬間、和歌山のカレー事件が頭をよぎった。その直感どおり、カレーには毒が入っていた。

入退院をした女性は、身体も心もだるさを抱えたまま、職場に復帰をする。そして、いろんな人の優しさを感じながらも、かつて暴力を受けただろう記憶になかった母を思い出す。彼女はこの事件をきっかけに、かたくなに1年後と決めていた結婚を早める。死にかけたことによって、彼女の何かが少し変わったのだ。きっかけがどうあれ、生きることの素晴らしさみたいなものが感じられて、幸せな気持ちになれました。

「あったかくなんかない」
小説家になった女性が、未だに心の中で生きている、小さいときのたったひとりの友達を思い出す。まことくんは老舗の和菓子屋の末っ子で、家にはいつも大勢の人がいた。しかしまことくんは、私の家にいると安心するという。書店を経営し、店舗の2階で親子3人が住んでいるちっぽけな家なのに。やがてまことくんとは突然会えなくなってしまう。

大きなおうちで大家族の少年は、家族の愛情を受けていたが、どこか寂しさを感じていたのでしょう。だけど、少女はそれを気づかずに、逆にいつも誰かがいるのを羨んでいる。そして突然まことくんが亡くなったことにより、まことくんが言っていたことに気づき、物事の本質を悟る。すごく切ないお話ですが、「どうして明かりが暖かいのか」という、少女と少年のやり取りは、暗い雰囲気を和らげ、読者にも暖かみをあたえてくれます。

「ともちゃんの幸せ」
ともちゃんは少女期に年上の幼馴染にレイプされ、お父さんを家に出入りをしていた秘書に取られたからか、得体のしれない悟りを持ってしまった。そのともちゃんが、三沢さんという四十歳くらいで、背がすらりと高くて、もうかなりはげていて、指にはたくさん毛が生えた男性を意識しだした。

きつい過去を持つともちゃんは不思議系に育った。そのともちゃんのちょっとした時間を一緒に過ごす。これは雰囲気を読む作品でしょう。だから感想はパスします。

「デッドエンドの思い出」
西山君は子供のとき、お父さんに2年間も軟禁され、親戚の通報で大げさに救助された。そして今では三十歳になり、お酒を飲ませるよくある小さなお店、「袋小路」の雇われ店長をやっていた。そのお店のオーナーは私のおじさんで、私はお店の二階の小さなスペースで居候をしている。実は、私には遠距離恋愛をする婚約者がいたのだが、物の見事に捨てられ、両親や妹との家族の結束のかたさがわずらわしく、はじめて実家を出たのだった。

彼のさり気ないやさしさや独特な感性に、女性は癒されていく。安っぽく男女の仲にならないのも素晴らしい。お互いにとって楽しい時間を過ごし、寂しがりながらもあっさりと自分の場所へ帰っていく。そこが清々しくて男前やなあと惚れ惚れとしました。今後もきっと、この絶妙な距離のまま、二人は良い関係を維持し続けるのだろう。たぶん。

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comments

 こんにちは♪
 TBどうもありがとうございました。


 私も一時期“吉本さん”から遠ざかっていたんですが、
 ひさびさにこの作品を読んで、いいなぁと思いました。
 どれも優しさが感じられて、癒されます。
 何が大事かってことを、思い出させてくれますね。

miyukichi:2007/08/19(日) 17:13 | URL | [編集]

miyukichiさん、こんばんは。
よしもとさんは、いいなぁですよね。
上手く言えないんだけど、いいなぁと感じられます。

しんちゃん:2007/08/19(日) 18:36 | URL | [編集]

ワタシも苦手意識が先行してなかなか読めなかった人です。
喰わず嫌いはいけませんね。
ばななさん…コトバがじんわり浸透してゆく感じがします。

ユミ:2007/08/20(月) 11:07 | URL | [編集]

ユミさん、こんにちは。
こんなに苦手だと思っている方が、多いとは思いませんでした。
だけど、自分はどうやら脱却できたみたいです。

しんちゃん:2007/08/20(月) 13:14 | URL | [編集]

この作品が『初』だったんですけど、
わりとす~っと読めましたね。
やはり「よしもとばなな」になったからでしょうか?
でもこれ以降、まだ3作しか読めてませんが・・・。
苦手意識は少しずつ解消されているような気がします。

す~さん:2007/08/21(火) 20:59 | URL | [編集]

す~さんはこれが初だったんだ。
自分もこれが初なら、ここまで苦手意識は持たなかったのに。

しんちゃん:2007/08/22(水) 15:02 | URL | [編集]

しんちゃん、こんにちは~!
ばななさん、デビュー当時は本当に良く読んだのですがいつの間にか遠ざかってました。
きっかけがあってまた読み始めましたけど、作品の雰囲気が何となくやわらかく優しくなったようで(それまで抽象的な文体が読者との距離感を強めていたような気がしていたので)ぐっとばななさんとの間が近づいたような、そんな感じがしました。
ああ、こういう感じいいかも、なんて思いながら読みました。
たぶん、きっと、ばななさんがお母さんになって変化してきたのかなぁ、なんて。
この作品は妊娠中に書かれたものなんですよねぇ。
…と、だらだら長々書いてしまいました。ごめんね(笑)

リサ:2007/08/28(火) 09:26 | URL | [編集]

TBありがとうございました。
私もよく文章にひっかかりを感じます。でも最近になってようやく苦手意識脱却できたかな~という感じです。
そうっか~、よしもと名義になって、作風も変わってきたのかもしれないですね。なるほど~

EKKO:2008/02/15(金) 22:57 | URL | [編集]

リサさん、こんにちは。
そっか!お母さんになって名義を変えた。
これが変化の原因かもしれませんね。
なるほど、なるほど。

しんちゃん:2008/02/16(土) 12:14 | URL | [編集]

EKKOさんもひっかかりありましたか。
謎が解けましたね~。
だけど最近ご無沙汰モードです。

しんちゃん:2008/02/16(土) 12:17 | URL | [編集]

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