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    2007

08.29

「ZOO 2」乙一

ZOO〈2〉 (集英社文庫)ZOO〈2〉 (集英社文庫)
(2006/05)
乙一

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「血液を探せ!」
かつての交通事故で痛覚を無くしたワシ(六四歳)は、目覚めると血だらけで脇腹には包丁が突き刺さっていた。二度目の妻であるツマ子(二五歳)と長男のナガヲ(三四歳)は、これで遺産が手に入るとウキウキ。臆病な次男のツグヲ(二七歳)は役に立たず、同行していた主治医のオモジ先生(九五歳)が持ってきていた輸血用の血液は、行方不明になっていた。

おもろーい!なんなんだ、この面白さは。どんどん死にかけていくのに緊迫感がまったく無い。つうか滑稽なブラック・ユーモアが冴えているのだ。本心をむき出しにした妻と長男に、頼りにならないというより無責任なボケた主治医。それに次男の裏の顔。こんなの好きだー!

「冷たい森の白い家」
伯母の家に引き取られ馬小屋で暮らす男。彼は伯母の娘に文字と計算を教えて貰うが、やがて馬小屋を追われてしまい、生きていくためにある森の中で家を建てようとする。男は人を狩って、死体で壁を積み上げ始めた。

なんだ、このグロさは。だけど訳のわからない魅力がある。神秘的というか不思議な空気感が漂っている。やがて男は出会った少女と約束をし、彼女の望を叶えるために森を出る。その結果がまたシュール。乙一ならではの世界観が楽しめた。

「Closet」
義弟のリュウジの住む離れに呼び出されたミキ。一夜明けるとリュウジの姿が家の中から消えていた。離れのスペアキーを持つ父。リュウジを殺したと疑う義妹フユミ。圏外にいる母。何故か存在の影が薄い夫のイチロウ。この家で何が起こったのか、ミステリーです。

個々の思惑や疚しさが絡んで怪しさが増す。犯人だと思っていた人物があっさりと覆るラストは秀逸。おもいっきり、やられちゃって下さい。上手いっ!

「神の言葉」
周囲にこびへつらいながら生活をしてきた僕は、自分の声によって生き物の行動を操る能力を持っていた。言霊遣い。同級生のアサガオの成長に嫉妬し枯らす。凶暴な犬を手なずける。母の精神を壊す。父の指を飛ばす。やがて僕は弟の侮蔑のまなざしに恐れを抱くようになる。

これは何ていったら良いのだろうか。言霊の能力を省けば、コンプレックスから精神の崩壊を招くというたぐいのお話。タイトル通りに主人公が言葉をつかって思い通りにする。その結果罪悪感に陥り、自ら壊れていく。だけどそれだけではなく、もっと大きな何かがある。スケールあるラストの結末にゾクリときた。

「落ちる飛行機の中で」
T大に五回落ちた青年に飛行機がハイジャックされた。後部の三人掛けの窓際に座った女性に、隣の席に座っている男が墜落死は嫌ですねと声をかけてきた。女性は安楽死がしたいと答えると、男は安楽死が出来る薬を譲っても構わないと返してきた。薬を巡ってやり取りをしている二人が気づくと、空いた通路側の席にハイジャック犯が腰掛けていた。

すかした感じが面白い。やがて三人が己の現状の気持ちを語り合い、女性が安楽死の薬を譲り受けるかを決断する。乙一なので何かをやってくれるとは思っていたが、あの展開は想像を超えた。やっぱ上手いなあ。それにラストのセリフも素晴らしい。これは好きだ。


「むかし夕日の公園で」
両親が帰ってくるまで誰も居なくなった夕方の公園で過ごす少年。少年は砂場の中に腕を垂直に差し込み、砂の世界を探検していた。

文庫だけのおまけ作品です。短いページ数だが乙一らしさが本領発揮。すごいっ。ゾクッとくる展開だが、それに対して少年が返した答えが見事。大人だから楽しく読めたが、子供が読めばトラウマになる可能性あり。単行本版を読んで未読という方は、ぜひ立ち読みを。


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乙一
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comments

こんにちは♪
2も読まれましたね^^

2に入ってるなかでは
「冷たい森の白い家」と「神の言葉」 で
あまりにも簡単に(それにものすごい数の)
人間が死んでいく描写に、閉口した覚えがあります・・・。

文庫本にはおまけ作品があるんですね~。
私は単行本でしか読んでないので
いざ、立ち読み!ですね(笑)。

じゅりん:2007/08/30(木) 17:42 | URL | [編集]

じゅりんさん、こんばんは。
結構前に読み終わってたんだけど、図書館本に追われるは感想はたまるはで、やっと感想を書けました。今現在も8冊分の感想がたまってます(汗)

いっぱい死にましたねえ。黒全開の作品が多かった。「むかし夕日の公園で」 も黒いですが、読む価値ありです。ぜひ、立ち読みを!


しんちゃん:2007/08/30(木) 18:16 | URL | [編集]

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「ZOO1」「ZOO2」乙一


ZOO〈1〉ZOO〈2〉去年「ZOO」は読んでいるんです。だけど2に書下ろしがあると知って、早速借りました。1には映画化された話「カザリとヨーコ」「SEVENS ROOMS」「SO-far そ・ふぁー」「陽だまりの詩」「ZOO」と漫画家・古屋兎丸さんとの対談が収録され、2には「血液を探

2007/08/29(水) 20:56 | ナナメモ

ZOO


「カザリとヨーコ」、「血液を探せ!」、「陽だまりの詩」、「SO‐far そ・ふぁー」、「冷たい森の白い家」、「Closet」、「神の言葉」、「ZOO」、「SEVEN ROOMS」、「落ちる飛行機の中で」の10の作品からなる短編集。ハードカバーの帯に、ある批評家の言葉があります

2007/08/30(木) 17:34 | *precious memories*

ZOO〈2〉/乙一


JUGEMテーマ:読書 天才・乙一のジャンル分け不能の傑作短編集その2.目が覚めたら、何者かに指されて血まみれだった資産家の悲喜劇(「血液を探せ!」)、ハイジャックされた機内で安楽死の薬を買うべきか否か?(「落ちる飛行機の中で」)など、いずれも驚天動地の粒...

2008/01/12(土) 15:02 | hibidoku~日々、読書~

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