2007
![]() | 九月の恋と出会うまで (2007/02/21) 松尾 由美 商品詳細を見る |
OLの北村詩織は写真が趣味で、臭いを気にせず現像出来る部屋へ引っ越をした。新しく引っ越した先は、安くて快適な生活を送れるが、ある日不思議なことが詩織の身に起こった。エアコンの設置されていない外へと続く塞がれた穴から、低くてかすれた男の声が語りかけてきた。自分は隣のA号室の平野だが、一年後の世界の住人だ。これから一週間分の新聞の見出しを教えるから、未来から話かけていると信用して欲しい。納得してくれたら願いを聞いて欲しい。詩織は納得した結果、隣に住む現在の平野を毎週水曜日だけ尾行することになった。そして3回目の尾行の水曜日に、詩織が家へ帰ってみると空き巣に入られていた。
ネタバレありで感想を書いています。未読の方はご注意を。
面白かったんだけど、拒否反応も数箇所あった。1年後の世界の平野(シラノ)から頼まれて、現在の平野を尾行する。これは面白いんだけど、家に帰ったあとのシラノとの会話がだるい。それでまた尾行と、合計3回も尾行する必要があったのかを疑問に感じた。平野の不思議な行動を描きたいのなら、1日の間に数回怪しい行動を入れただけでよかったような気がする。
結果的にシラノの言う通りに行動した詩織は、空き巣とバッティングをせずに命が助かる。ここからはシラノは誰かというミステリになって、時間軸がどうの、大江戸線問題だのと、SF設定のわけのわからない講釈が始まる。こんなのがすげえ苦手なので、まったく理解が出来ない。はっきり言って苦痛だった。
こうして苦痛にたえていたら、気がついたら恋愛小説になっていた。それでちゃっかりラストにはじーんとくるし、読後の感想は、いやー、面白かったとなる。なんなんだ、この本は。こんなに内容や感想がコロコロと変わる本を読んだのは初めて。
褒めていいやら、けなしていいやら、なんとも困った作品でした。最後に面白かったと思ったんだから、褒めてもいいんだけど、それも尺に障る。読みやすいのだが、SF設定がなければもっと良かっただろう。SF設定が魅力だって? ごめんなさい。SFが苦手な者なので、ははっ。お初がこの本だったので、SF設定ではない他の作品を読んでみようっと。
お気に入りのセリフがあったので、個人的メモを残しておこう。
「よく女の人は献身的だっていうけど、女の人の場合はあれだよね、相手に見える形で尽くす。こんなに尽くしているわたしを見て、というところがあるんじゃないか。だけど男はそうじゃなく、相手の知らないところでひそかに尽くす。そのことにロマンを感じる」
松尾由美さん、男をよくわかってらっしゃる。
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