2007
![]() | 武士道シックスティーン (2007/07) 誉田 哲也 商品詳細を見る |
3歳から剣道一筋で生きてきて、新免武藏に傾倒し全中で準優勝をした磯山香織。彼女の剣道とは、勝つか負けるか、斬るか斬られるか。かたやこれまでやっていた日本舞踊の部活がないので、今までの経験が活かせる剣道を中学から始めた西荻早苗。彼女の剣道とは、勝敗とは別に教えられた技が出せるかどうか、きれいに動けたか。まったく対象的な二人が最初に出会ったのはちっぽけな市民大会で、香織は早苗の動きに翻弄された挙げ句に真正面からメンを奪われ敗北した。その彼女を追って東松女子へ推薦入学を決めた香織だが、彼女の前に現れた早苗は信じられないぐらいに弱かった。
磯山香織、西荻早苗、二人のヒロイン目線で交互に描かれたスポコン青春小説です。
「五輪の書」が愛読書の兵法バカで、妙な兵法者言葉を話す磯山香織と、緊張感のないのんびり屋で、今風で天然な女の子の西荻早苗。彼女たちの対照的な人物造詣や、噛み合わないやり取りが面白い。それに他校のライバルではなく同じ学校に通っているというのも、近きライバルでお互いを刺激しあって成長をしていくにはベストな設定だろう。
剣道の試合場面がすごく熱い。相手の動きを想像し、ヒロインたちが瞬時の判断で行動していく。彼女たちの一挙手一等足がまるで自分の動きのように感じてしまうのだ。これを子供の頃に読んだら、剣道をしたくなったかもしれない。かつての「六三四の剣」ブームのときのように。知っている方はわかるだろう。だけど、自分にはムリだった。本当の防具は鼻がひん曲がるほど臭かったのだ。
やがて磯山香織は、勝って勝ち続けた先には何があるのかと、初めて大きな壁にぶち当たる。そんな香織の姿を横目で見ながらも、西荻早苗は自分の腕前を上げていく。そして香織が壁を乗り越えた時には、早苗は香織の立派なライバルに成長をしている。ちょっと出来すぎかもとは思ったが、その後の彼女たちが剣道を何故続けるのかという答えが良かったので、さらっと流してしまおう。剣道に限らずに物事を続けるのに一番大事なことだし。
ラストも爽やかで感じが良い終わり方でした。最近はやりの陸上モノに負けないぐらい面白かったです。剣道をまったく知らなくても、煩わしさのない用具の説明があるし、試合の臨場感が味わえます。肩肘張らずに読める、エンターテインメント溢れた青春小説でした。
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