2007年09月11日 (火) | 編集 |
![]() | エロマンガ島の三人 長嶋有異色作品集 (2007/05/31) 長嶋 有 商品詳細を見る |
表題作を含めた6つの短編集です。
「エロマンガ島の三人」
エロマンガ島にいって、エロ漫画を読もう。ゲーム雑誌の編集者である佐藤たちは、通称「桃鉄」というゲーム内で、エロマンガ島までいけるようになったと居酒屋で盛り上がった。そのくだらない話が企画で通ってしまい、佐藤は入社1年目の久保田と、メーカーの井沢と共に向うはずだった。しかし空港に現れたのは井沢の代わりだという、日置というぶっきらぼうな男だった。かくして三人はエロマンガ島へ飛び立った。
「女神の石」
廃墟となった街の瓦礫化したちっぽけなビルでひっそりと生きる、河原田と英一と保と玲子、そしてマモル。この世界になにが起きたのか、今どうなっているのかという根本的なことはわからない。ただマモルは物心がついた時にはここで暮していた。
「アルバトロスの夜」
駆け落ちをした男女が逃亡中に、なんとなく立ち寄った夜間ゴルフ・コース。女のすすめでゴルフを楽しみながらコースを巡る、男女と無口なキャディ。そして最終ホールを終えたときに追っ手が現れ危機を向える。そのときにキャディが出したのはゴルフ・クラブではなく、…。
「ケージ、アンプル、箱」
津田幹彦はWeb製作会社の社長をしていたが、会社はあっけなく倒産してしまった。倒産手続きの慌しさが落ち着いた津田は、家にこもってネットゲームに打ち込む日々を送っていた。そんなある日、津田の携帯にHMというイニシャルの女性からメールがきた。津田はゲームをしながら過去に付き合いのあった女性たちを、次々とHMに当て嵌めはじめる。
「青色LED」
刑務所を出た男を待っていたのは、かつてお世話になった先輩だった。男は世の移り変わりを感じながらも、自首する直前に旅をしたことを回想する。
「エロマンガ島の三人」は、週刊ファミ通の編集長の体験談をもとにしたフィクションだそうです。彼ら三人は目的を果たすぞという意気込みもなく、現地のホームステイ先で五人の少女たちと戯れているだけ。だけどなんか良いのだ。
「女神の石」「アルバトロスの夜」は、ほんの少しだけSF要素があるが、たんたんとした日常を送っている。そこへ閉鎖された空間で過ごすゆえの結末だったり、逃亡を追いかける追っ手が現れた時の選択だったりと、シュールなラストを迎える。そのシュールさが、なんか心地良かった。
「ケージ、アンプル、箱」も、かなりシュールな作品だった。付き合いのあった女性との過去を思い出していくが、この津田という男にとっては、女性のことなんて少しも感傷がない。ただの暇つぶしのように回想していく。だけどこんな雰囲気は嫌いじゃない。
「青色LED」では、登場人物の表記がアルファベットになっていた。それを敢えて伏せたのは、この作品集の最後を飾るのにぴったりの作品だったから。先入観なしでこの作品を読んでもらいたい。
すべての作品に対しての感想が抽象的になっているのは、これら作品たちが雰囲気を楽しむものだったからです。こういう長嶋さんが作る一種独特な雰囲気は好きです。
そしてまたもやサイン本だったりもする。よく釣られる良いお客さんだな。

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