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    2007

09.29

「不器用な赤」ヒキタクニオ

不器用な赤不器用な赤
(2007/08)
ヒキタ クニオ

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高校二年生の仲澤利沙は、キューバ革命のゲバラに心酔し、金、金、金の商業主義を侮蔑して、日夜ゲリラ戦を挑んでいる。カップルの男だけを徹底的に痛めつけ、女の持つ高級ブランドバック奪って換金し、それを資金にして、商業主義の象徴としての看板を赤に塗りつぶす。破壊活動と奪取だ。その活動に共感したのは、在日の利権を使って日本人から金をむしり取るという、金、金、金の守銭奴である父と兄に嫌気がさした、同級生の在日韓国人、伊原知恵。知恵は韓国名と日本名を持つ自分のアイディンティティに対する疑問を持っている。そんな生活にやり場のない閉塞感を感じた二人の少女が行き着く先とは。

二人のゲリラ戦の一方で、利沙の二人暮らしの母、里佳子は商業主義に踊らされて、離婚した元夫から送られる利沙の養育費を湯水のごとく使いまくり、あげくに高級スポーツクラブのインストラクターである直樹に鴨にされている。二人の少女も、ダメな母も、しょぼいたかり屋の直樹にも共感出来ない。だけど、少女たちから盗品買いをしている質屋の伊勢爺だけは、いい味を出していて魅力的でした。警察の違法捜査に対して警察官職務執行法を持ち出して、やり込める場面には最高に溜飲が下がった。そして少女たちを煽りながらも、彼女たちの息苦しさを理解した上で、本当の手助けをしたいと思っている。その結末が、壮絶の一言。

なんというかすごく映画的な作品でした。少女たちは真直ぐ前を向いているんだけど、その向いている方向がすごく偏っている。その極端に偏った方向へ暴走していく二人の姿は気持ちが良いのだが、こんなことをしていいのかという理性も出てくる。確かにチャラチャラした女子高生が、ヴィトンやシャネルなどの高級ブランド品を持ち歩いているのを見ると、それはどうかと思う。そのバックはいくらで買ったの?と一度くらい聞いてみたいものだ。だけどこうまであっさりと狩って、商業主義は息苦しい、で済ましてしまうのは少し抵抗がある。それにデパ地下で惣菜を買いあさる食事が普通の家庭や、高級ジムに通って痩せたからといって、ご褒美に服を買いあさる母親の姿は見苦しい。自分は高級ブランドなどに興味が無い男ですが、女性がこの本を読んだ感想は少し気なります。

ラストの暴走ぶりは触れることが出来ませんが、そんなアホなという大騒動を巻き起こす。やはり共感は出来ないが、ここでも映画的というか映画向きだと感じました。少し分厚い本だが、ヒキタ氏の文章は読みやすいし、ビートが利いてテンポも抜群に良い。暴力的なシーンも疾走感ある文章が問題なく読ませてくれる。かなり危険な香りがする作品だが、理性の葛藤がありながらも面白く読めました。そして少女たちの無邪気な壊れっぷりが、少し切い余韻を残しました。

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ヒキタクニオ
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comments

風邪と多忙でいただいたTBになかなか応えることができずすみません。やっと復活気味(?)。いましばらくは、まずアップすることに専念する方向です。
「映画のよう」でしたね。そういう見方をすれば深みのなさも気になりません。しかし、もう少し爽快感が欲しかったですね。
利沙のピスト・レザーが逃げるのに万能でないのが、ちょっと気になりました。また、ピスト・レザーの少女という設定も、オリジナリティーはあるものの、その存在が珍しく、すぐ見つかってしまいそうですよね。
あと、もう少し欲しかったかなぁ・・と、ヒキタクニオに期待してしまうのですよ。

すの:2007/12/24(月) 12:15 | URL | [編集]

すのさん
忙しい年末に風邪とはお気の毒です。
深いみはありませんが、映像が思い浮かぶような作品でしたね。
ピスト・レザーという単語にピンときませんでしたが、都会では活躍しそうだと想像しました。
これも映像的だと思った要因の一つです。

同じく、もう一歩踏み込んだガツンが欲しかったです。

しんちゃん:2007/12/25(火) 12:15 | URL | [編集]

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「不器用な赤」ヒキタクニオ


「不器用な赤」ヒキタクニオ(2007)☆☆☆★★ ※[913],国内、現代、小説、女子高生、レジスタンス、革命、化学、爆弾、在日韓国人、ミステリー(?) ※備忘としてのあらすじあり。未読者は注意願います。 ヒキタクニオという作家は割と好きな作家だと思っていた。...

2007/12/24(月) 12:09 | 図書館で本を借りよう!~小説・物語~

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